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夏嶋 真子
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月光は受話器をつたひはじめたり越前岬の水仙匂ふ (歌集 をがたま 葛原妙子)
春日井建
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2011年1月11日登録
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気まぐれ更新。
【月光は受話器をつたひはじめたり越前岬の水仙匂ふ】
(歌集 をがたま 葛原妙子)
水仙の日本三台名所に挙げられる越前岬の水仙はとりわけ香りがよいことで有名です。部屋に一輪あれば一日中清らかな空気に包まれるほどだそう。
越前岬には水仙にまつわる伝説があり、平安時代一人の美しい娘を慕うあまり決闘をはじめた兄弟に娘は深く哀しみ越前岬から身を投げてしまいます。兄弟がひどく悔いて仲直りすると岬に一輪の水仙が流れ着きふたりはそれを娘の化身と信じたそう。
この歌は、遠く離れた想い人の部屋の水仙の香りが月の光に重ねられ視覚と嗅覚と聴覚が混然となり白く清らかで凛とした花の輪郭を映し出していて大変見事な秀歌だと思います。
ミニ写真歌集「翠雨」 http://natsushimamako.blog133.fc2.com/