恣翁のお気に入りの歌一覧
芳立
をしどりにみえぬ夫妻がくちばしを揃へてなじるわが独り身を
11
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工藤吉生
「オレはもうダメなのかなあ」スリッパやタイルの模様まじまじと見る
4
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さる
あさはかな猿知恵なりと自蔑する紳士面して語るわれをば
5
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紫苑
滝つ瀬のはやき流れをいかにせむ延べらるる手の何処に誘ふ
8
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舞
群ら竹の笹鳴り幽すか春未だき寝付けずに聞く夜風立つらん
12
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聴雨
君がいふ「辛夷の蕾が膨らんだ」その指さきに春は宿れり
5
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詠み人知らず
綺麗な子カメラの前で微笑む子こころは不安でいっぱいなんだね
2
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むぎたうろす
プライドを拾い集めて燃やしたらときどきバチッてはじけるだろう
3
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光源氏
笹尾山むなしく散りしもののふをあはれに照らす冬の月影
8
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あき
見るだけ、と言いつつ見れば買っちゃうの。それが女の愚かな性よ。
16
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詠み人知らず
流れゆく白い街並み眺めては友の花信を羨んだ日々
6
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あそびくも
ケンケンパ、陽気匂へる公園の群れ立つ鳩の鼻歌と跳ぶ
10
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車男
「危ない」と日に五度は言う介護士に脳性麻痺はしるく強張る
16
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聴雨
しあわせの種をひと粒くれるやうに今朝いちりんの連翹咲けり
18
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横雲
春めける眩しき風の川の辺にそこここ青く若草の萌ゆ
12
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紫苑
脂粉の香きみに移さじ午後の陽に傾くまでの倫を保ちつ
7
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葵の助
眉を描き口紅を塗る毎朝の儀式で今日も決意をバシッと
2
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木綿
遠距離と思っていたけど今ならば時差がないなら近いと思う
2
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木綿
吐きたくて屈めば背に当てられる母の小さな手を思い出す
4
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栞
雪の舞う如月にきみが待ち望む春届けたくそら豆茹でる
3
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