詠み人知らずのお気に入りの歌一覧
恣翁
隔たりて 銀河横たふ樹々の間に 浮きたる我は暁の月
24
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恣翁
一面の闇聳えたる枕辺に 空切る手こそ 仄見えましか
14
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恣翁
黄昏の石ころだらけの山道を辿れば 寺に蝙蝠の飛ぶ
24
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恣翁
野分き立ち 旋風を巻きてくるくると 朽ち葉の叢の舞ひ上がるかな
18
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恣翁
新月を拝み 呟く願ひ事 聞こえず 風の薄絹を吹く
18
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恣翁
三男の帰りし後も そのままの寝具を 昨日片付けてけり
13
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恣翁
鳶の舞ふ秋空映す池の上に 跳ね躍りたる魚ぞ可笑しき
14
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恣翁
中年と老いの境に 夢見たる虚構を現に など為らるれや
13
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恣翁
放牧の牛は鴉の集ふがに 鷺は胡蝶の飛ぶがに見えたり
18
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恣翁
灯火を消すがに 来たる蛾の群れぞ 虚空なる月 実に覆ふべき
15
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恣翁
老眼に書く字は大に 耳遠く 声は自づと高くなりけり
15
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恣翁
交差点を往き交ふ車に よろよろと 嬲らるるごと残り蝶飛ぶ
20
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恣翁
西域に 白き練絹運びゆく駱駝の鈴の ゴビが原に消ゆ
11
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恣翁
海と空の間の色濃き一線に 遊子の遠く 息衝けるかな
15
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恣翁
翅破れ 弱りし蝉を掌に乗せて 狙へる鳥から守らむ
12
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恣翁
夜顔の今日萎るとも 日暮るれば 夜来の雨に露ぞ置くべき
12
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恣翁
巣より出で 隈笹の上を翅鳴らし すがるの群れの威嚇するかも
15
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恣翁
新築の別荘は 未だ人影も見えず 真白く森に静もる
13
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恣翁
榛の茂る片岨切り拓き 清濁分かつ眺め味はう
10
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恣翁
籬垣に 白々と咲く茶の花の向かふの空に 昼の月浮く
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