詠み人知らずのお気に入りの歌一覧
恣翁
晩き春 日は長けれど 客の無く 物憂き午後ぞ 蝶の飛びける
22
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恣翁
桑の枝を潜りし先に 雲雀鳴き 雑木林は 木の芽煙りき
22
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恣翁
臥し看れば 満天の雲動かねど 舟はや過ぎぬ 楡の堤を
22
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恣翁
真っ新な手拭ひかぶり 割烹着 障子をはたく 若き日の母
24
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恣翁
旅衣 懇ろに縫ふ母の情 如何にして 子の報いられめや
20
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恣翁
やはらかく 欅の若葉 戦がせて 風ぞ 耀ふ波となりぬる
22
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恣翁
春風は 柳と別れ惜しむがに 手折りし後も 枝戦がしむ
15
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恣翁
物憂げに 飛び交ふ燕も 呟くや 睡蓮の町 春を抱けりと
15
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恣翁
麦刈るに 白髪の農夫 雲開くを 望みて立てり 鶴の如くに
22
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恣翁
爽やかな 上午の風は 藤棚の 下の幼女を翠に染めぬ
19
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恣翁
薪背負ひ 歩くに倦みて 樹の下に 憩ひて禽の囀りを聴く
20
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恣翁
書に倦みて 涙出づるも構はずに 日がな一日欠伸三昧
22
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恣翁
恨み見る女の か細く白き手に 似て 地を撫づる柳糸優しも
19
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恣翁
河靄に 月影溶けて 山並みは 青黒く 躍る獣の背に似る
15
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恣翁
川白く 岸早緑に 田植ゑ唄 長閑ならざる農村の梅雨
17
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恣翁
幼気な雛 喉高く反らしては 飽くこと知らず 貪るばかり
14
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恣翁
温き風 雨を含みて閣に満ち 汀の柳を吹き流せりき
14
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恣翁
笑みたるも 頬に冷たき影差して 油断のならぬ鋭き目付き
18
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恣翁
潮退き 漁る舟の傾ける 沙の人に怯え 鷺立つ
14
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恣翁
後先に 纏はり付ける孫を見て 歩き難きに嬉しげな翁
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