詠み人知らずのお気に入りの歌一覧
恣翁
冷やかな 朝の空気の描きたる 残酷なほど露なる景
16
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恣翁
霜置ける橋に 残れる足跡を 照らす 旅籠の屋根の上の月
17
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恣翁
風雪の 激しき夜に 旅立つ吾 老母思ふめり 子無からましと
14
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恣翁
生温き 血の滴りを 止めむと 瞼を閉ぢて 息吸ひ込めり
16
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恣翁
濁酒の 緑の泡に そそられて 今宵の雪に 一献遣らむ
17
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恣翁
枝の雪 千々に落として 愛でたるか 鴉飛び立ち ねぐらを目指す
13
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恣翁
目標の頁まで読み 炉を掻けば 埋み火在るに 更に続けつ
29
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恣翁
富士山を 彼方に望む 貨物船 運河進めり 陸往くごとく
13
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恣翁
飲み潰れ 夜更けに目覚め 老鶴の 鋭き声に 山月高し
22
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恣翁
久里浜の蛸を肴に 吟醸の 馥郁たるを 味はへるかな
17
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恣翁
紛々と 降り頻りたる初雪は 烟立てたる 川面に消ゆ
21
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恣翁
紅き実を 埋めらるなり 藪柑子 幽かに響く 雪の音かも
12
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恣翁
御通しの 雲子の甘さに 食堂の 鱈汁の味 甦りけり
11
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恣翁
世事に慣れ 純真なりし童心は 辿る夢路に甦るのみ
22
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恣翁
霧雨の 街をかなしく 籠めぬがに 冷たき悲哀 胸に満ちけり
16
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恣翁
自堕落な起臥に ふやけし脳だに 何時か知るべき 苦き思ひを
13
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恣翁
文机の書こそ 展く能はざれ 頬杖で 降る雪に見入れば
19
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恣翁
頂の白く曇れば 条をなし 羽毛の雪ぞ 吹き下りにける
17
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恣翁
文机の花瓶に挿して 密やかに 香り混じれる 梅と水仙
23
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恣翁
勢子蟹の子と味噌 肴に 熱燗を ちびちび遣れば 憂さも晴れけり
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