詠み人知らずのお気に入りの歌一覧
恣翁
端然と坐る 寡婦の凄艶な姿に 傍に寄るさへ躊躇ふ
20
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恣翁
凄然たる空に 失意の沈みぬれば 酒を呷りて往時夢見む
16
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恣翁
床の間の 南天插せる 青磁瓶 さのみ明るく 年あらたまる
27
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恣翁
まづ父母に おせち供へて 手を合はす 家族健勝 今年もよろしく
23
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恣翁
過ちて 年賀データを 消しつれば 失禮ながら いま春を賀す
17
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恣翁
元旦の 團居に竝ぶ 姑の 牛蒡が多き 手作りの節
19
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恣翁
松過ぎて 娘らとせし 七竝べ 齡一つが 積み重なりぬ
18
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恣翁
娘から 合格したと 電話あり 獨り異郷で 祝杯を擧ぐ
241
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恣翁
眼鏡上げ ひれを手に取り 醉ひし眼で 仔細に看入りし 老父は在さず
34
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恣翁
おてんばが 佛に變はる 寢顏かな 脣寄せし その圓き頬
75
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恣翁
いつからか 本を讀むのに 亡父のごと 眼鏡上げたる 我や老ひにし
33
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恣翁
蒟蒻と 卵とすぢが 好きなのと 湯氣の向こふで 微笑みし君
35
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恣翁
白露を 梨の花こそ 宿しけれ 隱すとも立つ 匂ひかぐはし
28
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恣翁
結ぼれし 露と見紛ふ 勾玉の 雫連なる 頸飾りかな
18
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恣翁
年ふりて 駄馬となりてし 名劍士 なれど打ちたや 會心の面
18
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恣翁
忘れたり 忘れたりしを 忘れにき さういふ恐怖ぞ 老ゆといふべき
29
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恣翁
野に在りて 人知れず咲く 山百合は かしこき内に 匂ふ優しさ
29
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恣翁
空低き 丘の冷氣に 立ちつくす 滅びの豫感が 結晶せし瞬間
12
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恣翁
皺寄りて 白く彩へる 紙屑は アスファルトに咲く 冬薔薇かな
27
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恣翁
雪深き 合掌造りの 窓の灯は 紫黒の海に 沈みたる星
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