詠み人知らずのお気に入りの歌一覧
恣翁
大原女の少女 さざめき行く径は 馥郁たれや 石楠花の咲く
54
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恣翁
年増女の男に跨りて つびの毛を擦りつけつつ 極みに果てつ
15
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恣翁
雨晴れて 気紛れな風に 野茨の香りし立ちて 我を酔はしむ
20
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恣翁
ゆっくりと 夕陽を背に 老翁は酒を飲みたり 一日終はりぬ
25
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恣翁
黄昏は 藤花の陰に深まりて 春の尽くるを惜しみけるかも
60
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恣翁
老残の身は 春風に酔へれども 旧知は挙げて 代替はりけり
18
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恣翁
花弁の透き通るまで寂しげな桜や 雪に洗はれて咲く
39
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恣翁
誰が家か 巡らす塀の高々と 崩れし箇所ゆ 蓬生の見ゆ
17
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恣翁
屋敷林 襟元を吹く凱風に 木漏れ日揺れて 初夏清し
24
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恣翁
咽るがに 草の臭ひの鼻塞ぎ 去りゆく春の恨み尽くまじ
27
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恣翁
雨晴れて 初夏の風薫りつつ 座敷に 麦の青さ映えけり
21
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恣翁
険峻を 雨衝き 暮れて帰りつれば 笠一面に紅の花弁
20
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恣翁
沼の面を 燕掠めて波立てる水の碧さぞ 庇に当たる
18
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恣翁
輪郭の滲める月に 漆黒の禽飛び立ちて 「唖々」と一声
26
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恣翁
一条の路に草萌え 裾のごと 斜めに延びて寺に続けり
20
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恣翁
月照るも 愁ひに長く閉ざされて 春の記憶は塵に埋もれぬ
40
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恣翁
長き睫毛伏せて 幼女は ベンチより その両脚をブラブラさせたり
31
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恣翁
集ひける士と 琴弾きし座敷こそ 庭は草生し 埃積もらめ
21
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恣翁
幟立つ茶店の裏に 梅の実の 雨に打たれて熟れたるを見る
37
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恣翁
緑葉は陰を成せども 実は僅か 過半散りぬる曾ての蕾
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