詠み人知らずのお気に入りの歌一覧
恣翁
城山の 楡に凭れて 見し町の 赤く平和に 浮き上がりけり
11
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恣翁
恒風は 万里を渡り 黄昏れて 細糸杉を 戦がすばかり
13
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恣翁
波の下 月も届かぬ 闇路にや 啜り泣くらむ 水漬く屍は
21
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恣翁
「とや」でなく 「にや」相応しく 想ふなり 黄泉路に死者の 啜り泣くがに
7
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恣翁
礎石のみ 空しく残る 楼の跡 赤枯れし苔 雨に蔓延る
21
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恣翁
憂鬱に 山を染めたる 夏色を 私雨の 白く消しゆく
24
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恣翁
高台は 黄金に染まり 二階家の 象ばかりぞ セピア色なる
12
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恣翁
螢飛び 団扇揺るがぬ 此の宵は 秋先づ応へ 涼貸しつべし
22
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恣翁
あのひとの 好みし書を パラパラと 部屋抜ける風 ただ捲りゐる
12
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恣翁
白雨過ぎ 海松茶に川の 色変はり 擬宝珠の暮れに 濡れて光れり
22
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恣翁
暑雨止みて 軒の滴の 乾く頃 虹陽に断たれ 人ぞ出で来し
21
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恣翁
日の暮れを 待つかのやうに ひっそりと さびしい胡麻の 花咲きにけり
31
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恣翁
風吹けば 果てしなき野に 草靡き 天包に似て 全てを覆ふ
21
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恣翁
鴉群れ 芥に混じる 無花果を 人も恐れず ただ啄めり
22
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恣翁
置き去りの 箒の柄から 巧妙に 糸張り渡す 蜘蛛見つけけり
21
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恣翁
甘藍の 紙のやうなる 千切りに 母慕ひつつ 独り平らぐ
22
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恣翁
一条の 黒き蜥蜴の 干涸らびは 車道の上に 光りにけむか
14
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恣翁
休日の 中学校の 黒板に 消し忘れたる 幾何の図の在り
23
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恣翁
盆の夜の 広場に集ふ ペルセウス 流星群を 見る同期会
19
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恣翁
久々の 路面吸ひたる 涼雨にも 凋みし儘の 鉢の朝顔
23
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