蛙の庭さん
のうた一覧
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緩む夜の水族館よ生き物の重さを溶かして鎮める水面
平成二十二年五月三日
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ひんやりと湿る水族館通路深きへ沈む春の夕暮れ
平成二十二年五月三日
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ひっそりと話声する夕暮れの水族館を最後に出でて
平成二十二年五月三日
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花は花に祕められ眠る深々と老櫻を抱く五月のみどり
平成二十二年四月二十八日
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葉櫻の下生えの濃き緑へと祕められてゐる一片のはな
平成二十二年四月二十七日
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まだ誰も踏んではいない新雪のごとく降り敷く雨後の花跡
平成二十二年四月二十五日
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お濠には花また花の萬年を龜は夢見るふたりでゐる春
平成二十二年四月十一日
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海を渡る蝶のごとくにひと群れの花はらはらと大河を越える
平成二十二年四月二日
4
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水底の枯れ葉も夢もゆらゆらと風が搖らす時間が搖らす
平成二十二年四月二日
3
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まだ誰も來ない花見のシートにもさくら降り敷くさらば三月
平成二十二年三月二十六日
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濠端のやなぎさみどり陽を浴びてわれにも輝くもののあるらし
平成二十二年三月十七日
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さきがけのごとくに開く寒空の梅の枝なる春の回線
平成二十二年二月十七日
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星々とわれと猫との間隙に淋しき冬のとどまりてをり
平成二十二年二月六日
6
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荒野にて星を見上げる猫がゐて淋しさがふと誰かに落ちる
平成二十二年二月六日
7
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月は冴え薄青き雲が空渡り荒野にポツリ猫が見上げる
平成二十二年二月六日
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僕等には何かが欠けてゐると云ふ冬極まりし夜の孵卵噐
平成二十二年二月三日
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闇に高く震へる凧よわが歩む足下も危うき星の海なれ
平成二十二年一月三十一日
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孤獨とは留めるピンなき宙吊りの背中の闇に怯える十六夜
平成二十二年一月三十一日
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ゆうるりと星はめぐれる恐れつつ夢む繪図なき海に迷ふを
平成二十二年一月三十一日
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見渡せば荒野を抱く星の海燈守のごとき自負に眠れず
平成二十二年一月三十日
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