恣翁さん
のうた一覧
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しゃがみ込み 草の香に春嗅ぎ取りて 悦に入りにし少年時代
令和六年四月二十五日
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春の夜の出で湯に浮けば 魂だにも 海月のやうに揺蕩へるかも
令和六年四月二十三日
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花影を踏み拉きたる物狂ひ 八重の桜を月下に仰ぐ
令和六年四月二十日
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傾きし片割れ月を嘲りて 夜明け烏や 唖々と鳴くらむ
令和六年四月十八日
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掛け流しの湯の立ち籠むる石床を 踏む足濡れて温かき朝
令和六年四月十一日
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灯籠の瞬く 春の寄する潮 鳥居立ちけり 巨人のごとく
令和六年三月三十一日
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温かき煮しめの香り 漂ひて 火点し頃の靄に溶けゆく
令和六年三月二十八日
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豆腐屋の軒に下がりし縄暖簾 染み込みにけむ油の臭ひ
令和六年三月二十四日
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逃げてゆく夜よ 見せなも 安らかな匂ひを残す夢の続きを
令和六年三月十六日
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ベッドから 手を拱きて ゆく春を カーテン越しの風に聞くかな
令和六年三月十一日
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春雨の色を移すか 靄りたる 暗き火影の浴室の壁
令和六年二月二十九日
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鐘の音は 暮色の迫る高殿の影の奥にや 鎖されぬらむ
令和六年二月十七日
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星屑が 夜汽車の音に包まれて 目蓋の闇を往き交へるかな
令和六年二月十日
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仄白く 低き家並の続く道 未明に凍てて横たはるかな
令和六年一月十七日
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雪の音を聞きつつ迷ふ 思ふこと 言はぬが花と弁ふべきを
令和六年一月九日
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思ふこと いはでぞただにや...
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埋み火を熾せば 猫の声すなり 庭の椿は疾うに咲くらし
令和六年一月二日
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船の焚く火影ちらちら頼りなく 初冬の宵ぞ一入寒き
令和五年十一月三十日
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小雪に 水垢離の音 寒々と 木菟の耳にも響きたるらむ
令和五年十一月二十八日
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逆光の山並み 近く見ゆるかも 炊ぎの煙の漂ふ夕に
令和五年十一月二十日
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凩や 心細くも生き残る蟋蟀一匹 ころころと鳴く
令和五年十一月十三日
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お便りを下さった某歌人さんに、...
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