天野まどかさん
のうた一覧
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凍てついた夜の氷は月光を映しきしきし引き締まりゆく
令和六年十一月二十四日
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無人駅灯る明りに特急が闇から闇へと駆け抜けてゆく
令和六年十一月二十四日
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秋なのかもう冬なのかはっきりと分からぬままに夏日ありたり
令和六年十一月二十日
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ぐわぐわと互いに呼び合う鴉去り枯葉の揺れる枝の静けさ
令和六年十一月二十日
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寂しさは宇宙の果てから来たるかな虚ろなまでに抜ける秋空
令和六年十一月二十日
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自転車のカゴに置かれた麦わらの帽子そのまま秋となりたり
令和六年十一月十七日
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年末の喧騒遠く吾が部屋に今年も吾が身庇い居るべし
令和六年十一月十七日
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轟音をあげて列車が通過した後の孤独な鉄橋の下
令和六年十一月十五日
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同じ空戴く遥か異国には空襲あるべし今この時も
令和六年十一月十五日
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赤茶けた錆の匂いが漂った高架下行く黒き野良犬
令和六年十一月十二日
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時代には少し遅れて歩こうか一歩一歩を踏みしめるべし
令和六年十一月十二日
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どうしても伝えきれない思いあり秋の夜長の灯火ゆらめく
令和六年十一月十日
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民草と関りの無き開発の工事の地鳴り夜通し響く
令和六年十一月十日
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孤独なる魂一つかばいつつ今日も揺られる満員電車
令和六年十一月九日
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細々とどうにか生活立て直す踏まれし草が頭もたげて
令和六年十一月九日
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クレーン車の腕に吊られた鉄骨が曇天の街鈍く横切る
令和六年十一月二日
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濡れ落葉貼りつく道の泥濘のごとき心で歩く夕闇
令和六年十一月二日
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膝の上拳握ってお役所の杓子定規な話聞き居り
令和六年十月二十六日
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紅葉の道は輝き葬送のごとく静かに夕日落ちゆく
令和六年十月二十六日
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ぶらさがる照る照る坊主の笑い顔首を切られる定め知らずに
令和六年十月二十五日
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