詠み人知らずさん
のうた一覧
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へたくそな一首を詠うためだけにかたつむり見に傘をひろげて
令和元年六月十七日
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光る目は夜道佇む猫のもの月なき闇に煌めく命
令和元年六月一日
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向日葵の滲む日差しは双眸に思い出残す幾つかの夏
令和元年六月二十六日
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平凡な晴れ間を少し散歩するツツジの花は眩しく群れる
令和元年五月十日
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暮れかかる陽と長閑なるシャッター街猫は憩いぬコンクリの影
令和元年五月二十二日
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昼と夜忙しき日々の平凡に花びら脱いだハナミズキ立つ
令和元年六月八日
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滑らかに鎖骨に当てる心地よき固形石鹸そんな雨の日
令和元年六月十日
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燕行く空と小雨に平凡な今日の視界を飾って貰う
令和元年六月十二日
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人生の成功だとか失敗に我関せずと向日葵堂々
令和元年七月十七日
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蝶弾む花びらの野に陽光は溌剌とした季節授ける
令和元年五月二十二日
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眩しさを羽織ったような花びらと西の空見りゃ夕陽は遠く
令和元年六月十八日
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湿り気に圧倒された曇り空花の蕊には足止める蟻
令和元年六月三十日
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渦巻いたでんでん虫の背を招き恙無く咲く花は紫陽花
令和元年七月十一日
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バス停の名前をひとつ思い出し走り抜け行く汽車を眺める
令和元年七月十四日
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はなみずき花びら散った枝寂し見上げれば月まるくまあるく
令和元年五月十七日
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植え込みのツツジを照らす電灯のいろは豊満ふくよかな闇
令和元年五月二十日
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出世とか勲章だとか人生の自傷行為に勤しむ世相
令和元年六月五日
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蛙群れ唄う力は夜に栄えて吾は袋提げ塒に帰る
令和元年六月十日
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傘に積む雨の言葉が生命の喜怒哀楽を凌駕せんとす
令和元年六月十二日
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退屈な視界に宿る紫陽花の色取り取りの顔並ぶ道
令和元年七月六日
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