関山里桜さん
のうた一覧
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日は暮れてみ空と海ともろともに埋もるる靄の鳩羽紫
平成三十年二月七日
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軒灯に消ゆる小雪を見上ぐれば辻子に架かれるオリオンの星
平成三十年一月二十四日
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鉛色のおもたき空に薄く濃き枯れ野の色の煙りあふかな
平成三十年一月八日
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当て所なくながらへきぬるもの憂さを氷雨はなぞり滑り落ちゆく
平成三十年一月七日
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朝の陽の生まれんとする山際はまろく熟れたる甘柿の色
平成二十九年十一月二十八日
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父よりもよく会っている美容師に「いつも通り」と注文をする
平成二十九年十一月二十三日
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常盤木も紅葉も濡るる雨の苑あえかに白き山茶花ひとつ
平成二十九年十一月十八日
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今日もまた人にもらひし美しき言の葉ひとひら飽かず眺むる
平成二十九年十一月十七日
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黄朽葉の西日の窓辺に和歌集を読めば鋭き鵯の声
平成二十九年十一月十六日
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幼目に粗目糖と見しは薄らかに葛の枯れ葉に降りし初霜
平成二十九年十一月十六日
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たそがれの薄紫か秋といふ名か我が胸を露けくするは
平成二十九年十一月十日
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蝋燭の火影に読めり 文殻と呼べぬ手紙の「貴女」の文字を
平成二十九年十一月四日
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君と我 互いの胸の淋しさを一匙すくい舐め合えたなら
平成二十九年十月三十一日
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桜紅葉いとど匂へる霧雨に石畳をゆく郵便バイク
平成二十九年十月二十八日
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玉かぎる夕べの空の刈安に細くかそけき三日月の白
平成二十九年十月二十三日
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秋霖にめいめいの吐く溜め息に窓を曇らす通勤電車
平成二十九年十月十七日
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琥珀色の洋杯の底に虹をなす古きサロンのステンドグラス
平成二十九年十月十三日
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シロップのごとく朝陽は赤く照り金木犀の香のたなびけり
平成二十九年十月十一日
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これからも会えるようにと名をつけし野良猫たちの行方を思う
平成二十九年十月八日
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秋雨にものを思へば幾千の玉ぞ松葉の末に宿れる
平成二十九年十月二日
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