松本直哉さん
のうた一覧
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みつからぬ出口さがしてくらやみをさまよふ夢のめざめかなしも
令和六年十一月九日
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わがうたにいまだ紋章なきことも恥ぢずこよひも豆腐が旨い
令和六年十一月六日
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ブレーキのきかぬくるまかすこしづつあなたの方にかたむくこころ
令和六年十一月五日
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別れきて秋の夜長をなきとほす虫の息にもなりにけるかな
令和六年十一月四日
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管弦のとよもすホール脱けだせばしんとしづもる明きフォアイエ
令和六年十一月三日
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「好きといふきもちは抑へられなくて」読みかへす午後ひざしうつろに
令和六年十一月二日
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置きわすれられしニットのセーターに顔うづむればにほひなつかし
令和六年十一月一日
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十年後ジャスミンティーの再会は苗字かはりて人の子の母
令和六年十月三十一日
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祈るやうに手をあはせたりめづらしき蝶見つけしと馳せきたりけり
令和六年十月三十日
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わたつみの底の浄土の住みごこちいかにと問ひぬあをうみがめに
令和六年十月二十九日
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乳と蜜ながるるところといはれたるカナンの地いま血潮ながるる
令和六年十月二十八日
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春高楼の花のうたげはまぼろしか廃墟の城を照らす月かげ
令和六年十月二十七日
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制限字数こえてあふるるわが思ひたぎつ早瀬となりにけるかも
令和六年十月二十六日
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ふらんすはあまりに遠し「赤と黒」原書にはがすユーロの値札
令和六年十月二十五日
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ひそやかにゐなくなりたし没年齢しられぬままに墓標もなしに
令和六年十月二十四日
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おたがひの足音のみを聞いてをり話の接ぎ穂見つからぬまま
令和六年十月二十三日
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ひとり舞ふほかにすべなしもろびとの大縄跳びの埒外なれば
令和六年十月二十二日
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「きらひなのさういふところ」といはれたり不貞寝して聞く遺愛寺の鐘
令和六年十月二十一日
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おぼろなる記憶の底にきこゆなり赤子のわれを呼ぶ祖母のこゑ
令和六年十月二十日
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かろやかに走り抜けたり太陽のコロナのやうに髪なびかせて
令和六年十月十九日
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