蒼井 月子さん
のうた一覧
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くしゃくしゃのレシートだけがあの夜のたったひとつの ほんと だった
平成二十三年七月二十二日
25
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知らぬ間に更地になった一画の土は初めて秋の風知る
平成二十三年九月二十三日
20
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あったかもしれない時間はいつまでも甘美なままで手招きをする
平成二十三年九月二十八日
13
あの日を想い
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木洩れ日に脚をなくした蟷螂の それでも我を威嚇する性
平成二十三年十月十七日
13
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かりんとう夜更けに舌で転がせば甘さも孤独もしんと染み込む
平成二十三年十一月二十二日
13
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あのメールさえも重たい夜があり「選択」「削除」指がついばむ
平成二十三年十一月十三日
12
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「逢いたい」の「た」の字あたりでつまづいたできないことと知っているから
平成二十三年十一月二十九日
11
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自販機に向かう背中に甘いのはコーヒーも人も苦手と言えず
平成二十三年九月二十五日
10
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指先は消えゆく虹の弧をたどり重なる時を知る影ふたつ
平成二十三年十一月二十六日
10
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蜘蛛の巣にかかったひと葉埒もなくこぼれた色は吐息を染める
平成二十三年十月十八日
9
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三人称で綴る恋なら 見え透いた嘘もありかと滲む文面
平成二十三年十月二十七日
9
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ドロップが最後のひとつになりました導火線に火をつけるなら今
平成二十四年五月三十一日
9
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飲みすぎた鎮痛剤のせいにして初めて君を遠ざけた朝
平成二十三年八月二日
8
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痛いような決意が背中押す朝に「きっぱりと」という名前をつけよう
平成二十三年十月一日
8
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切れかけた蛍光灯なお熱抱き往生際の悪さも愛しく
平成二十三年七月二十八日
7
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シャガールの「青」に再会して午後の淡い光に過去もたゆとう
平成二十三年八月十七日
7
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唇からこぼれる君をすくい取り さらに艶やかわたしの指先
平成二十三年九月十九日
7
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行き先に「故障」と掲げ行くバスに潔さとて必要と知る
平成二十三年九月二十九日
7
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切迫感のない「忘れないわ」を察知して 君の背中は振り返らない
平成二十四年五月一日
7
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いちごみるくがりりと噛んでせめてもの抵抗せんと別れの情景
平成二十三年七月二十六日
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