水島寒月さん
のうた一覧
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家並みの途切れてのっと現はるる富士の白さや電車の窓に
平成二十三年一月十七日
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男ってよくわからないと吾娘は言へりそいつが父にも解らんのだて
平成二十三年一月十七日
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ベランダの柵に止まれる蟷螂の小一時間を動かずにあり
平成二十三年一月十七日
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亡き父のこゑ忘れゐしこの頃かやうやう人は遠ざかるべし
平成二十三年一月十六日
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雪いろの雲ひろごりてなほのこと辛き煙草の昼休みかな
平成二十三年一月十六日
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暮れかけて黒ぐろと見ゆ柿の木に鶫は群れて実を食らひゐる
平成二十三年一月十三日
4
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腹這ひの腰の痛みに投げ出せりつひに一首の纏まらぬまま
平成二十三年一月十三日
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はだれ雪せる丹沢をあふぎゐる我が鼻先に冬刺さりくる
平成二十三年一月十三日
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しらさぎの群れ降り立てり初春の社が池に影映しつつ
平成二十三年一月十三日
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冬空にさし渡したる竿に干せるそら豆のごと君のくつ下
平成二十三年一月十日
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初詣で済ませて戻る参道に甘酒売りはこゑ嗄らしをり
平成二十三年一月十日
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見上ぐれば真冬の寒き柿が枝に椋鳥どもの鳴き騷ぎたり
平成二十三年一月八日
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風吹けば風に戦ぎて柿の葉の乾ける音を聞くも哀しき
平成二十三年一月六日
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釈然とせざる思ひに見上げたる真暗き空に星ひとつ見ゆ
平成二十三年一月五日
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石段を我れは登りぬ倒れたりし銀杏の高さ目に測りつつ
平成二十三年一月四日
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籠り居て雑煮を祝ふ初春の陽はやはらかくカーテンにさす
平成二十三年一月四日
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初詣で済ませて妻は安らかに居眠りてをり電車の席に
平成二十三年一月四日
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し残しし事ども数多抱へつつ炬燵に啜る年越しのそば
平成二十二年十二月三十一日
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刈り込まれし百日紅の寒ざむとひともと立てる角ゆきにけり
平成二十二年十二月三十日
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うす暗き雲をかむりて丹澤は雪降るならむ風つめたけれ
平成二十二年十二月三十日
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