水島寒月さん
のうた一覧
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夕暮れに僅か許りの酒を飲み無益なことを云う男あり
平成二十二年五月一日
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便りなきそが無事にある報せとか母思いつつ言い訳をのみ
平成二十二年五月一日
4
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傘を打つ雨に混じりて切れぎれに大正琴の音は聞こえくる
平成二十二年四月三十日
4
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指先の痺れるような冷たさのなぜ懐かしや北風の夜に
平成二十二年四月三十日
3
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ワルターのモーツァルトに聴くごとき静かな笑みを抱いて生くべし
平成二十二年四月三十日
3
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甘やかなその香を胸に縫い込まん銀木犀よ深深と咲け
平成二十二年四月三十日
5
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遠ざかる日を押し止む術もなく色褪せゆける思い出のあり
平成二十二年四月三十日
3
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ふたり来て諏訪湖を渡る風を受く遊覧船は弧を描くかな
平成二十二年四月二十九日
4
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我が胸の打ち身のごとき痛みさえ次第次第と薄みゆくべし
平成二十二年四月二十九日
3
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じっとりと己れが足を見る夜はただ一匹のけだものであり
平成二十二年四月二十九日
2
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妻が焼くいつもと同じたまご焼きいつもと同じ日であれかしと
平成二十二年四月二十九日
7
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懐かしきひとと相見し心地せりしろつめくさは丈低きかな
平成二十二年四月二十九日
5
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強き香に傘傾けて見上げたり枝垂るるばかり咲く山桜
平成二十二年四月二十八日
3
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おくりびと観終えし余韻それぞれに抱きて午後のラウンジに居り
平成二十二年四月二十八日
3
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引き際も大事と妻は言いくれし雨降り続く葉桜のころ
平成二十二年四月二十八日
3
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捕われて息絶えしのち焼かれたる魚毟りけり差し醤油して
平成二十二年四月二十八日
6
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亡父の胸に挑むがごとく軟球を力の限り投げし日のあり
平成二十二年四月二十八日
6
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はげちょろけ斑らな赤き絨毯に漱石が生く清貧を見つ
平成二十二年四月二十七日
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蒲公英は精一杯に背伸びしていのちを託す春風を待つ
平成二十二年四月二十七日
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ふっくりとききょうに白くともりたるつぼみというはやさしきことば
平成二十二年四月二十七日
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