水島寒月さん
のうた一覧
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鰻焼く一首を読まば山椒の香ぞ思わるる抗い難く
平成二十二年五月三十一日
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見上ぐればモネの日傘の空の色何を為すまい今日のひと日を
平成二十二年五月三十一日
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風止みて真直ぐに落ちるぼたん雪のほたりほたりと真白き夕べ
平成二十二年五月三十日
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雲母のごと命の束や真鰯のうねりてはまたうねり返せり
平成二十二年五月三十日
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ひともとの槙の木はふと夕映えて心の澱の鎮まれるかな
平成二十二年五月三十日
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諦めに似た静やかな幸福のわが胸に満つ君と居りなば
平成二十二年五月三十日
2
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苦瓜は本葉を四つ出しにけりほどなく梅雨に入らんとすれば
平成二十二年五月二十九日
4
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馬肉の脂は甘く残りたり地酒の銘は忘れしなれど
平成二十二年五月二十九日
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諍いてうす汚れたる我が心抱きて眠るほの暗き部屋
平成二十二年五月二十七日
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武骨なる枝にほつほつ咲く梅に春待つひとは華やぐならん
平成二十二年五月二十六日
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空を負い海風に舞う鴉らは得意なるべし羽搏きもせず
平成二十二年五月二十六日
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しゃぼん玉屋根まで飛んでこわれたり束の間虹と輝きてのち
平成二十二年五月二十五日
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ラーメンがただラーメンでありし日よ秘伝こだわり蘊蓄もなく
平成二十二年五月二十五日
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焼海苔が動きいるごとへたへたと昨日孵りし子亀歩めり
平成二十二年五月二十五日
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海亀は何を思うか思わぬかしきりと顔をガラスに寄せくる
平成二十二年五月二十五日
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牽かれゆく汝れの声こそ哀しけれ牛舎の屋根を震わせて消ゆ
平成二十二年五月二十五日
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寒もどる小暗き部屋にひとり居てただひと匙のはちみつを舐む
平成二十二年五月二十四日
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つゆの香に引き寄せられて小上がりに新そば手繰る初秋であり
平成二十二年五月二十四日
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高空を鳶ゆるやかに滑空す汝れも憂いを抱き居るらん
平成二十二年五月二十四日
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急用と方便つかい休暇とす足が向かぬと言うべくもなく
平成二十二年五月二十三日
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