水島寒月さん
のうた一覧
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ゆるやかな傾りは雨に煙りたり黒ぐろと見ゆ弘法の山
平成二十三年五月十三日
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芍薬の蕾はふかき紫にしんじつまろき頑しくも
平成二十三年五月八日
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ライオンは老ひ果てしならむ遠き目をしばたたきゐて吠ゆることなき
平成二十三年五月七日
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目閉づれば瞼のうちに宿りたるお下げ髮ありかの日のままに
平成二十三年五月七日
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漱石の享年をわれ超えにけり齡といふは奇しかるべし
平成二十三年五月七日
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流るると流さるるとのちがひにて行き着く末の違はざれども
平成二十三年五月五日
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暗き檻に横たはりゐる老ひ獅子の吠ゆるもならず目をしばたたく
平成二十三年五月五日
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啄木の英語独語に長けゐしを聞きて食後の茶を終へにけり
平成二十三年五月一日
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手のひらに丸まりて載る小うさぎの眼はわれを何と見るらむ
平成二十三年五月一日
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白き花溢れ返せる花水木のひともと佇てる駅裏のみち
平成二十三年五月一日
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風は来て樟のあを葉を鳴らしをり誰にか詫びを言はねばならず
平成二十三年五月一日
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菜の花の咲き盛りゐる春の野にちひさき君をそつと置くべし
平成二十三年四月二十七日
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稜線はわづか霞みて丹澤は春の温みをわれに投げくる
平成二十三年四月二十七日
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雨音のやうやう繁くなりたればそを聞きながら寢ね入りにけり
平成二十三年四月二十三日
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やはらかな膨らみとして置かれゐる弘法山の春あふぎたり
平成二十三年四月二十三日
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葉桜の葉は青あをと輝きて世界は生まれ変はらむとせり
平成二十三年四月二十三日
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うぐひすはいづこの枝に冴えざえと鳴くや林をおほひ尽くして
平成二十三年四月二十三日
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花水木ひそと咲きゐる木の下をわれ見上げつつ過ぎ行きにけり
平成二十三年四月二十二日
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あかときをつつぴつつぴと鳴く鳥のこゑ澄みとほる春は来にけり
平成二十三年四月十九日
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つばくらめ縺れるやうに飛び交ひて葛飾真間に風光りたり
平成二十三年四月十九日
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