水島寒月さん
のうた一覧
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蟷螂は苦瓜の葉に潜みゐて我れを見て居り身動ぎもせず
平成二十二年八月十二日
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生くること虞るる想い我れにあり胸の内なる物差を当つ
平成二十二年八月十二日
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あかときの浅き夢にや蜩のふた声鳴きて秋立ちぬらむ
平成二十二年八月十二日
5
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切なきを胸底深く仕舞ひ込み仕舞ひ込みして我れは生くべし
平成二十二年八月十一日
1
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紫に染まれる雲を眺め居り今日という日の今し生まれ来
平成二十二年八月十一日
2
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枝に在りて束の間眠る蜩はいかなる夢を今宵見るらむ
平成二十二年八月十一日
1
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真白なる紙ひこうきは秋色の風に別れて草陰に落つ
平成二十二年八月十日
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別れゐし吾子に会う日の百日紅降るや降らずの雨に濡れつつ
平成二十二年八月九日
2
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空蝉よ旧き己れを脱ぎ棄てて汝れは何処の枝に鳴くらむ
平成二十二年八月九日
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明け方に雨通るらし珊瑚樹のひと葉ひと葉の息づきて見ゆ
平成二十二年八月九日
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苦瓜の葉裏に青き蛙いて午後の日陰を風に揺れ居り
平成二十二年八月八日
4
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口数の少なき祖父の床の間に砲弾ひとつ置かれてありぬ
平成二十二年八月七日
7
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暮れ方に蜩ひとつ鳴き居ればひと日の生の極まれるかな
平成二十二年八月六日
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登り来てみみづくの寺蝉のこえ相模の海の間近に見えて
平成二十二年八月六日
5
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照り返し強き農園巡りいて涼しきと見ゆ山葵田の水
平成二十二年八月六日
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何ごとの起これるがごと声上げて初蝉聞くと妻は告げくる
平成二十二年八月五日
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湯の面に夏の光は動きゐてそそと撫でゆく笹竹の風
平成二十二年八月四日
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湯上がりの休み処に大の字を描きて午後をしばし微睡む
平成二十二年八月四日
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風吹かば葉は戦ぎつつ笹竹の葉は戦ぎつつ真直ぐにぞ立つ
平成二十二年八月四日
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湿り気の残るさ庭の暗がりに鷺草咲くを眺めて居りぬ
平成二十二年八月二日
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