水島寒月さん
のうた一覧
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梢先に三つの重き実を支ふ花梨に亡父を重ねて居たり
平成二十二年八月三十日
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硝子窓の外面に夜の蟷螂はそのやはらかき弱みを晒す
平成二十二年八月三十日
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苦瓜の葉枯れのごとき夏疲れ酸い梅干を酸いままに食む
平成二十二年八月二十九日
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吾子抱きて里の秋など歌ひゐるあかとき来りしほの甘き夢
平成二十二年八月二十九日
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あかね空今日のひと日の暮るるとて雨戸鎖す手を妻休めをり
平成二十二年八月二十九日
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今日といふ掛け替へもなき一日を茜に染めて今日の夕焼け
平成二十二年八月二十九日
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降るごとき杉の葉陰にゆく夏を惜しむか蝉のひたに鳴きたつ
平成二十二年八月二十八日
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まる四年過ぎて転移も再発もなきと告げられ祝杯を挙ぐ
平成二十二年八月二十八日
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何ゆゑにか心の奧の瘡蓋を毟らむとする我れのまた在り
平成二十二年八月二十八日
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青柿のみつしり成れる梢先を秋めく風のふと吹き過ぎぬ
平成二十二年八月二十七日
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待つてたと云はぬ許りの満月に見下ろされつつ小用を足す
平成二十二年八月二十七日
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ヨード卵「光」の色に陽は出でて夏はゆっくり減速をする
平成二十二年八月二十七日
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深き深き水の底ひへ落ちゆかむ白きちひさな硝子となりて
平成二十二年八月二十六日
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不漁とて秋刀魚の高値報じをり当人知ったことにはあらじ
平成二十二年八月二十六日
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秋づけば花梨は青き実を着けぬ触るれば枝のわずかに揺れて
平成二十二年八月二十六日
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ひとつふたつ上向きに着く実もありてまろき花梨は秋風を受く
平成二十二年八月二十五日
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照りわたる青ひと色の夏空に名古屋の城の膨らみて見ゆ
平成二十二年八月二十五日
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新緑がきれいですねと先生は呟き給ふ選歌を終へて
平成二十二年八月二十四日
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何やらのひとつ覚えか効率と遊びのありて人は生くべし
平成二十二年八月二十三日
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冬瓜の冷たき皮の滑らかさをみなの肌と悩ましきかな
平成二十二年八月二十三日
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