水島寒月さん
のうた一覧
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長雨に枝撓みゐるあを柿の重たげにして濡れ尽くしをり
平成二十二年十月二日
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朝の雨にためらひつつも甘やかに金木犀は香りを放つ
平成二十二年十月二日
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たまさかに飲み過ぐす日のある事の止むを得ざればみづから許す
平成二十二年十月二日
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くさくさと反故丸めたるかたちして玉咲き鶏頭くれなゐ深き
平成二十二年九月二十九日
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蟷螂の六本細き脚を見つ神が創りしと思ふほかなき
平成二十二年九月二十九日
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暮れ易きヨコハマの空欺きて照明塔は芝を照らせり
平成二十二年九月二十八日
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解体はあらかた済みてけふひと日大き重機の息潜めをり
平成二十二年九月二十八日
4
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なに故に夾竹桃は哀しけれ赤きが故か白きがゆえか
平成二十二年九月二十八日
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秋のいろその背に負ひて蟷螂は何思ふらむ朝の雨ふる
平成二十二年九月二十八日
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トンネルを抜けて刈り田に赤あかと並び咲きゐる彼岸花見ゆ
平成二十二年九月二十七日
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遠花火雨にけぶりて見えざれば音をのみ聞く祭りの終はり
平成二十二年九月二十七日
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縺れあひつつ低く飛ぶ紋黄蝶台風去りて秋空高し
平成二十二年九月二十七日
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五十ぢとていかほどのもの参道の杉の並木に見下ろされゐる
平成二十二年九月二十七日
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引き剥がす秋刀魚の白きなか骨のしなやかにして秋深みゆく
平成二十二年九月二十六日
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焼け焦げて横たはりたる秋刀魚かな汝れが故郷の物語りせよ
平成二十二年九月二十六日
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小さき薔薇の病葉つまむ指さきに硝子の粉のかすかな痛み
平成二十二年九月二十五日
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三木助の語り口調の心地よき下げさへ知らずゐ寝入りにけり
平成二十二年九月二十三日
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紅葉の未だし山をあふぎたり秋桜揺るる野べをゆきつつ
平成二十二年九月二十三日
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その街を隈なく照らす月影のつくれる影に溶け込まむとす
平成二十二年九月二十三日
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さまざまに名は賜はれど何時にても拙者はまろき月で御座るが
平成二十二年九月二十三日
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