水島寒月さん
のうた一覧
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やはらかに国訛りする少女ゐてほほのうぶ毛もゆかしかるべし
平成二十二年十月十八日
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唐突に欠くる備前の徳利を惜しみて今日の暮れ方となる
平成二十二年十月十八日
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細ほそと鳴きゐる朝のこほろぎを聞かむと我れは眼鏡を外す
平成二十二年十月十八日
4
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色づきて枯れ葉は枝を離れたり秋の桜よ淋しかるべし
平成二十二年十月十八日
1
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うるはしき薔薇に刺あるほんたうのわけ知りたるは誰やの人ぞ
平成二十二年十月十六日
2
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あふぎ見てただあを空のあらばこそどうかこふかと我れは生くべし
平成二十二年十月十四日
4
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取り上げて手触り荒き梨の肌に瑞々とせる肉を思へり
平成二十二年十月十四日
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午睡して投げいだしたる足の裏に冷やひやと来て白き秋風
平成二十二年十月十二日
2
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青きあをき空の高みへ鳶ひとつ昇らむとしてやがて消えゆく
平成二十二年十月十二日
1
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くさくさに反古丸めたる姿して玉咲き鶏頭深きくれなゐ
平成二十二年十月十一日
3
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飛び去りてまた舞ひ戻る赤秋津ときをり宙に停まりもして
平成二十二年十月十一日
3
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ひとひらの風運びくる柿紅葉秋より届く短き手紙
平成二十二年十月十一日
5
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その肌に雨の雫を置きながら今朝柿の実はわづか色づく
平成二十二年十月十日
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夕されば通用口の木斛に差す秋の陽の細くなりゆく
平成二十二年十月七日
5
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世知辛き講演を聞き下りゆく紅葉坂まで冬陽の及ぶ
平成二十二年十月七日
1
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明けやらぬ道かけゆける靴音を布団に在りてただ聞ゐてをり
平成二十二年十月七日
2
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風に乗りただ風に乗り流れゆくわた雲のごと我れも生くべし
平成二十二年十月六日
4
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暮れゆけば金木犀のひときはに濃く匂ひきて秋冷となる
平成二十二年十月五日
4
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懷かしき手紙のごとくやさしくも金木犀の香は匂ひくる
平成二十二年十月五日
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うろこ雲浮きゐる空のその奧へ消えゆく鳶を見上げて居たり
平成二十二年十月四日
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