水上基さん
のうた一覧
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群青に蔭る黙秘を暴くように冷たい指で植えられた種子
平成二十二年二月八日
2
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天に咲く薔薇一輪を寄す処にし夜の淵から今朝も逃れる
平成二十二年二月八日
3
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胸骨を軋ませて降る初雪の夜なら言える、心が痛いと。
平成二十二年二月八日
7
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肋骨の伽藍に眠る者共の火葬とともに咲けるをみている
平成二十二年二月七日
1
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尽く雪に預けて青空の高き嶺には浄土すらなく
平成二十二年二月七日
5
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永らえぬ、知りつつ伸べる掌に雪はひとの終りの温度を標す
平成二十二年二月七日
2
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立方の水迷宮に身を鎖し頭上を過る孤独を数える
平成二十二年二月五日
6
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天は白く生命流るる雪の朝この身の熱を花の糧とせ
平成二十二年二月一日
5
君が逝った日、今年も雪が降った。
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昨晩も外れた天気読みの後、降る筈だった雪は花と咲く
平成二十二年一月三十一日
1
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ひとひらの螺殿の月が裏側に潜むる悪意のあざやかな白
平成二十二年一月三十一日
3
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丑三つの重い静寂に組み敷かれ、黒耀石は体内にあり
平成二十二年一月三十一日
2
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乳白色の月夜に溶ける枯木立、一日の底で溶ける傷痕
平成二十二年一月三十一日
1
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歯磨きのミントの奥にオーロラが見えて呼吸を深くする夜
平成二十二年一月二十九日
2
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嗅覚は世界の果てで繋がっている、初雪は赤子の匂い
平成二十二年一月二十九日
2
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オリオンの矩形のむこう、この星を見やる「私」が幾億も居る
平成二十二年一月二十九日
3
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半身を預けるものは人でなく山手線で良かった日がある
平成二十二年一月二十九日
2
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もう此処に居ない誰かに救われる事もあるから、空見て歩こう。
平成二十二年一月二十九日
1
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亡霊と行き交うように闇の辺をゆっくり歩く、独りで居るため
平成二十二年一月二十七日
3
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「満月がついてくるよ!」といつの世も子供の世界は天動説で
平成二十二年一月二十六日
39
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鉄骨の響きは高くカリヨンを模して空中都市を造れり
平成二十二年一月二十六日
2
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