恣翁さん
のうた一覧
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春の陽に光る野蒜の 二つ三つ 白き球根 焼き味噌の上に
平成三十年四月五日
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蒼き眼の蜾蠃の描く放物線 寂しき未来に続きたるかも
平成三十年四月四日
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舞ひ上がる空に 光を呑み込みて 為に 雲雀は溺れたるらし
平成三十年四月三日
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春雨の音の絶え遣らで 爆ぜにける篝火に 花影揺らめけるかも
平成三十年四月二日
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四十九日法要に集まった家族で、...
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御供へのでこポン喰らふか 母泣かせ 障子仄かに 小春日の影
平成三十年四月一日
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臍を曲げ 窓の雨垂れ 投げ遣りに黙し見る子の 涙を誘ふ
平成三十年三月三十一日
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ホームビデオに遺された、長男の...
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枯れ草の遠近にある 紫の堅香子の花 優しく揺れたり
平成三十年三月二十九日
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樹の下ゆ 桜の花を 朝の陽に透かせば 蛙の卵なめり
平成三十年三月二十七日
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夕月に 冷たく冴ゆる梨の花 鄙の凄艶 俗離るめり
平成三十年三月二十六日
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ズック靴干せる背戸なる杏花より 長閑けき春や 溢れ出づらむ
平成三十年三月二十四日
15
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午近く 障子ゆ射し込む影薄く 鶯の音も湿りたるかも
平成三十年三月二十二日
13
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艶やかに 雨に悩める海棠や 誘ふごとく 人待てるらむ
平成三十年三月二十一日
16
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太腿に 顔を埋めて 秘めやかな 君の体臭に咽びてしがな
平成三十年三月十八日
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忽ちに 春未だ浅き日の暮れて 闇の沁みなむ奥を訪はまし
平成三十年三月十五日
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一本に 玉簪花に似て五つ六つ 紫蘭の花は 般若思はす
平成三十年三月十一日
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泥靴の 点々と残る黒き跡に 雪解の春を ふと嗅ぎぬらし
平成三十年三月十日
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降るほどの銀杏黄葉に ぽつねんと 取り残さるがに 地蔵の御座す
平成三十年三月四日
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汁粥の煮えて 泡の滾つがに 不憫の念の込み上ぐるかな
平成三十年三月三日
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繭を成し 老いぬる蚕 代替はり 居眠らむずるに叶はざりしを
平成三十年二月二十七日
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長男の死に際して、大勢の方に励...
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痛嘆の極みなるかな 何も為せで 急ぎ逝きつる子の懐 思へば
平成三十年二月二十二日
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