恣翁さん
のうた一覧
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寒々と澱める池を埋むがに 覆ひ尽くせる緋の落ち椿
令和五年一月十七日
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霧の上に 墨撒き初むる夜の闇に潜む暗礁 爪を研ぐらむ
令和五年一月十二日
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手に囲ふ湯吞みのお茶を 旨さふに 唇尖らせて啜りたりけり
令和五年一月七日
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青畳に 半ば開きてひっそりと 紅き椿の扇落ちたり
令和五年一月五日
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内職の手を止め 見入る一点に そっと吐く息低かりしかも
令和四年十二月二十九日
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冷たげに 時雨に濡れて光りたる 黄昏れかかる坂の舗道や
令和四年十二月二十七日
12
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スロープを滑るスキーの板の下 エッジに軋む雪の跳ぬめり
令和四年十二月二十五日
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残照を映せる雲し 地上なる昏き翳りを際立たすめり
令和四年十二月二十五日
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前をゆく犬 見返せる傘の内 小雨煙れる師走の街に
令和四年十二月二十二日
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露に手を濡らし 侘しき朝の陽を湛ふる庭に 菊を剪る女
令和四年十二月二十日
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文机に 肩を縮めて茫然と 時雨を聞ける長き冬の夜
令和四年十二月十三日
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松籟の寒々とせし音を聴く 衾の襟を掻き寄せながら
令和四年十二月十一日
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黄の小菊 今を盛りと咲き誇り 香気満ちたり 噎ふばかりに
令和四年十二月八日
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朝霧の晴れねば 遠く眠たげに 路往く人の足音響く
令和四年十二月六日
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凪冷えて 静まりきれる天地に 月明かりこそ 今宵浸むらめ
令和四年十二月一日
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ラップランドの月明
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五時なるに 辺りは暗く 北風の弱きに 肌へ浸むがに寒し
令和四年十一月二十九日
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対岸の楓 盛りを過ぎぬらし 霜枯れし葉の落ち初めぬれば
令和四年十一月二十四日
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埃積む音だにすらむ廃屋の 湿気帯びたる甘酸き匂ひ
令和四年十一月十七日
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気の滅入る 落ち葉を濡らす雨音に 抗ふごとく大股にゆく
令和四年十一月十五日
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積まれたる白菜 朝の陽を浴びて 目の覚むるまで 実にみづみづし
令和四年十一月十二日
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