恣翁さん
のうた一覧
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波さへも音なき上気月夜にや 海底の珊瑚 毒を吐くらむ
令和六年七月二十日
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ゆく夏を偸むがに咲くサギスゲぞ 風に 密かに揺れて乏しき
令和六年七月二日
17
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立て切りし障子の玻璃ゆ 細長く 雨の糸しぞ 白く光れる
令和六年六月二十九日
12
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池の面や 風を孕まぬ夜の影に圧されて伸すに 瀕死なるらむ
令和六年六月二十七日
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鴨川の岸の柳は 霞みたる東山背に 煙るがに見ゆ
令和六年六月二十三日
16
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条々と 垂るる柳を欄に 吹き込むまでに降る繁吹き雨
令和六年六月十八日
11
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野茨の花弁はひそと波打ちて 余光に香こそ 吸われ消ゆなれ
令和六年五月二日
15
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草の上に腰を下ろせば 春の陽の 根にさへ籠る熱き思ほゆ
令和六年四月三十日
13
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永き日を ひとしほ永くする虻の羽音 空しく春風に消ゆ
令和六年四月二十八日
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嘴に泥を含みて 忙しげに 軒を出入りせるつばくらめ
令和六年四月二十一日
19
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しめやかに 春を潤す花の雨 夜目を掠めて ひそかに降れり
令和六年四月十六日
15
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花散るを 憂しとのみやは思ふべき 散れこそ咲かめ 季の来ぬれば
令和六年四月十四日
14
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柔らかく芽吹ける桑の 青み差す樹皮に 霧こそ珠を結べれ
令和六年四月九日
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蹲踞の水は しづけく春湛へ 山桜の影 漬したるかも
令和六年四月七日
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中天に昇りぬる陽は 芽吹きたる落葉松の枝に 燦々と降る
令和六年四月六日
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香に覚る 暗き庭なるゆすら梅 目をし凝らせば ぼんやりと浮く
令和六年四月五日
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開け放つ扉が 空しき春の陽を 上がり框に投げ掛くるかな
令和六年四月二日
15
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春寒の夜を深みて 濃やかに 依稀たる細雨 杜を籠めたり
令和六年三月二十六日
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東山 寝たる姿に朝日浴び けふも元気に目覚めけらしも
令和六年三月十三日
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夕映えの 燃ゆがに包む家並みに 季を忘れて風花の舞ふ
令和六年三月十二日
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