恣翁さん
のうた一覧
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月見豆 枝付きのまま無造作に 笊に盛らるる青き秋かな
令和六年九月十九日
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錯落と列ぶ墓標に刻まれし 消えかかりたる死せし人の名
令和六年九月十三日
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夏惜しむ陽を射返して 黒々と 伽藍の甍 鱗のごとし
令和六年九月九日
12
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翳る日に 塵を払へる半ズボン 地息に尻の丸く湿れり
令和六年八月二十四日
9
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更けぬるを 暑気冷めやらで 夕去りの街のごとくに 未だ賑はへり
令和六年八月二十日
9
コート・ダジュール
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図書館の 広き机の片隅を 照らせる窓の白き夏の陽
令和六年八月十八日
13
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帰りせば ゆかしからまし 故郷の 空気の色や土地の匂ひが
令和六年八月十七日
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仮寝より覚めて 披ける書の文字を 目に追ひながら聞く蝉の声
令和六年八月十一日
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暗闇に 繋がりながら 木霊こそ 心細げに消えてゆくなれ
令和六年八月四日
9
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痛烈な空の青さを 顔に浴び 目を瞑りつつ水に浮きたり
令和六年八月三日
11
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森閑とした 炎熱の日向路 眼鏡の枠も灼け熔けぬらし
令和六年八月一日
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連日の炎暑に夏バテ気味です。
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残り火の吐ける煙は どす黒く濁れる液の 地を這ふに似て
令和六年七月三十日
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杣人の影 何処かも 丁々と枝打つ鉈の音の響けば
令和六年七月二十一日
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波の上の三線の音と 沖渡る南風に誘はれ 常世を想ふ
令和六年七月十八日
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開く戸に 身を任せつつ カーテンに季を遮れる客間に入りつ
令和六年七月十三日
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吸ひさしの煙草燻れり 真鍮の灰皿に鋳し葡萄の葉より
令和六年七月十一日
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滑らかに 山吹色を地の碧に浮かべ 耀ふ七宝流し
令和六年七月九日
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黄昏は 家と家との間にし 細長く落ち 門を訪ふらむ
令和六年七月七日
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母と子の肌の温みを醸すがに 淡き光ぞ 二人を包む
令和六年六月三十日
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座布団に残りし温み ひっそりと 主を待ちつつ風に吹かれり
令和六年六月二十五日
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