ことりさん
のうた一覧
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ふんはりと草をかき分け異界より戻りしやうな猫の眼差し
平成二十二年四月八日
8
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すみれ色の栞ひもひとすぢ挟みおく鬼の子が泣く挿絵の頁に
平成二十二年四月八日
13
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亡き人は何を祈らん静かなる一樹にそそぐゆうぐれの雪
平成二十二年一月四日
16
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愛されて過ぎゆくひと日の残像となりたし桜の莟ふくめば
平成二十一年十二月十七日
11
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何処より来たれる蝶か思い合うこころのようなふたひらの翅
平成二十一年十二月十七日
12
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いっしんに遠き未来へ向かう船マラッカ海峡の月くぐりゆく
平成二十一年十二月十七日
9
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芽吹く気配閉じ込めかねてけだる気に背伸びしている水楢の枝
平成二十一年十二月十七日
8
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くづほるるやうに夕闇迫りくる走つてきたる人の背に
平成二十一年十二月十七日
4
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冬星のひとつしずくの落ちて来し乳房のほくろなぞられていつ
平成二十一年十二月十六日
8
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サイフォンの沸きあがるまで堕天使はカナリア色の笑みを交わしぬ
平成二十一年十二月十六日
7
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藪椿くらき淵へと傾り咲くきみの片方に魚身とならな
平成二十一年十二月十六日
10
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引っ掻いた虹の欠片が落ちてくる背中のファスナー下ろさるるとき
平成二十一年十二月十六日
5
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曇り空もりあがりつつ雨よりもさびしき紺のゆうぐれがある
平成二十一年十二月十六日
3
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幻の子は振り向かず抜け落ちた天使の羽根のみずみずと青
平成二十一年十二月十四日
6
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まつげ長き少女の横顔翳りゆく祈りを知らぬ聖夜の街角
平成二十一年十二月十四日
4
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はじまりの冬の陽射しがとどくとき草食獣の口許静か
平成二十一年十二月十四日
6
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セピア色の果実酒をそそぐゆうまぐれわれらの罪のふと切なけれ
平成二十一年十二月十四日
4
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色づきし南京櫨のかたわらを風傷の翅の蝶が飛びゆく
平成二十一年十二月十二日
14
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悲しいと言いて無限に引き出せばティッシュはかくもさみしき軽さ
平成二十一年十二月十二日
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どの窓も夜に向き合う 直情の拙き恋を笑っていたり
平成二十一年十二月十二日
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