天野まどかさん
のうた一覧
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鉢植えの花を引き抜き投げ捨てる子供のごとし吾の激情
令和六年六月二十五日
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背の高き男が急ぐ駅までの道に並びし街路樹の影
令和六年六月二十五日
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骨折れて廃れた傘を偏屈にさして出かける今日もまた雨
令和六年六月二十五日
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重たげに雲がうごめく梅雨空の中行くごとく人混みを行く
令和六年六月二十四日
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ひょろひょろと弱りし蝶が飛び来り独りの吾の前を横切る
令和六年六月二十四日
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溢れ出る涙の如くたらたらと電車の窓を伝う長梅雨
令和六年六月二十三日
1
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稲妻は夜空を裂いて明滅し吾が心中の闇を照らせり
令和六年六月二十三日
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鬱々として湧き上がり胸塞ぐ積乱雲のごとき悲しみ
令和六年六月二十三日
3
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あの橋を渡ればもひとつ橋があり数多の蝶が狂い飛ぶべし
令和六年六月二十三日
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飛ばされし麦わら帽子は煽られてくるくる走る高速道路
令和六年六月二十二日
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べったりと額に滲む汗拭い吾が内臓の写真見つめる
令和六年六月二十二日
3
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高々と上りし凧の糸切れて行く空の果て見上げ続ける
令和六年六月二十一日
4
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鋭き眼光らせ鷹は飛び立てりただ広々と野が残るのみ
令和六年六月二十一日
1
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でこぼこと転がり落ちしじゃが芋のごとく拙き吾の有り様
令和六年六月十九日
4
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吹き溜まる落葉を棒で掻きまわす何か隠れていると思いて
令和六年六月十九日
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白菜を一つ抱えて歩き居り自分の頭のごとく抱えて
令和六年六月十八日
4
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虚しさはからから回る風車ただ風頼み羽根折れるまで
令和六年六月十八日
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白々と乾ききりたる道を行く祭の後の町を目指して
令和六年六月十六日
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恐々と覗きこみたる古井戸にどろどろ動く名づけ得ぬもの
令和六年六月十五日
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ぴったりと獲物を狙う虎の眼の透きとおりゆく深き哀しみ
令和六年六月十五日
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