天野まどかさん
のうた一覧
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鉄骨は未完のままをさらけ出し遠吠えあげて風巻いて吹く
令和六年八月二十八日
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稲妻に首をすくめて畏まる古代のこころと言うべきものか
令和六年八月二十八日
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へつらいの笑顔の奥の卑小さをスイカの種のように吐き出す
令和六年八月二十五日
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どんよりと空を映したドブ川に願いを込めて流す笹船
令和六年八月二十五日
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また同じ経過をたどる失敗か吾が性として愛しみつつ
令和六年八月二十三日
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青くさきことを考え熱くなる青春の日はいまだ去らなく
令和六年八月二十三日
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朝寝して聞く風鈴の音寂しそんな時にはまた寝てしまえ
令和六年八月二十二日
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濁流が引き摺ってゆく大木の根っこはいやだいやだと叫ぶ
令和六年八月二十二日
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うねうねと黒く流れる濁流が深く掘りゆく夜の川底
令和六年八月二十一日
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閉店が続き廃れる街角の壊れた自販機金を返せよ
令和六年八月二十一日
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黒々と夜汽車は闇に走り去り鉄橋ひたすら雨に濡れいる
令和六年八月二十日
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大声で泣く幼子と声合わせ泣いてみたいと思う黄昏
令和六年八月二十日
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内面に都市の孤独を隠し持ち黒く佇む夜のマンション
令和六年八月十九日
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ああ誰が踏んで行ったか道端に毛虫の身体青く広がる
令和六年八月十九日
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御仏の大きい許しに包まれて今年も過ぎる盆の休日
令和六年八月十八日
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落雷を諸手で受けるごとく立ち雨に鉄塔黒光りする
令和六年八月十八日
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無言にて家族で作った砂の城静かに崩す満ちて来る潮
令和六年八月十七日
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吾が胸に赤くくすぶる残り火を抱え見上げる打上げ花火
令和六年八月十七日
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ハンカチが落ちているかと思いきや突然蝶となりて飛び立つ
令和六年八月十六日
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強風の中で巧みに傘を繰る盆の祭の踊りのごとし
令和六年八月十三日
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