山本克夫さん
のうた一覧
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不動産屋の曇りガラスにひかりある 私に似合いの古いアパート
平成二十二年四月十二日
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天がおりてきて手のひらに近づくのだ ああ、曇り空の幻覚作用
平成二十二年四月十二日
4
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現実を求めてやまぬ掌のヘブンリーブルーの種子をもてあます
平成二十二年四月十二日
6
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なくしてはゆくものの声をききました深夜さんご礁から伝わる波頭
平成二十二年四月八日
1
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子守唄を信じていた頃のように春の日の揺りかごの眠りをここに
平成二十二年四月八日
1
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ウェイトレス、ウェイトレス。夏の日のひかりのソルベアイスをひとつ
平成二十二年四月八日
6
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曇り空を生きてゆくことの証のようにただ薄い影をたしかめあった
平成二十二年四月七日
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まわりみちをしたのでしょうね教会はこんな近くに建っていたのに
平成二十二年四月七日
2
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さくらさくら とおい街の記憶をとりもどして花びらを手のひらに置く
平成二十二年四月四日
6
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指先よからだじゅうに触れてアナタノカタチヲキオクスルノダ
平成二十二年四月四日
4
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昨夜、悲しみの境界線の運河に架かる橋のたもとにふるえる猫よ
平成二十二年四月四日
3
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すぎてゆく時間もやさしいわたくしの手のなかで熟れてゆく桃よ
平成二十二年四月三日
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風の速さに負けないように親愛なる自転車のペダルを磨く 四月
平成二十二年四月三日
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よそゆき格好で少しすましたリュウグウノツカイと乗る水中列車
平成二十二年四月三日
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秒速五センチメートルであなたが花びらであった時の記憶をたどる
平成二十二年四月三日
3
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あたたかいココアのよこでゆっくりとあたたかくなってゆく深夜
平成二十二年四月三日
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誤字ばかり気にしていたら朝刊の死亡記事から飛び出す天使
平成二十二年四月二日
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理科室の三角フラスコのなかに放課後のままゆれる液体がある
平成二十二年四月二日
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思い出となるような歌を残して穏やかな春となればよいです
平成二十二年四月二日
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どちらかというと暖かな方向に寄り添って桜並木の川沿いをゆく
平成二十二年四月一日
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