煩悩さん
のうた一覧
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湖がカンカン帽子に浮かべられ救命救急センターで脈を打て
平成三十年五月十八日
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名前がさかなへんであったわたしは滝つぼに住む竜となりぬ
平成三十年五月十九日
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夭折の天才画家たちを偲びつつアクリル絵の具を溶く美術部員
平成三十年五月二十日
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ワイキキで出会えるはずだったバナナボートだけが沖へ沖へと
平成三十年五月二十七日
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硝子のない窓から吹き込む風に冷えてしまう角砂糖三つの珈琲
平成三十年六月七日
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俗世間を捨て海王星に居を移した仙人の白い眉毛と破顔
平成三十年六月十二日
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ドラゴンが目覚める頃に君はもう残り香だけで珈琲豆を挽く
平成三十年六月十三日
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百億の挽歌になった日に唯一人アララト山でその時を待つ
平成三十年六月十四日
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俺は決めたんだスマホがガラパゴス化したら一緒に水没してやろうと
平成三十年六月十七日
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それぞれのスプーンがそれぞれの殻を割る音のラメンタービレ
平成三十年六月二十三日
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誰もわかっていないだろうハブられた冥王星の孤独と復讐を
平成三十年六月二十五日
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ココアを溢してしまった「人を動かす」無骨な指の形に滲む
平成三十年七月一日
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ちりめん山椒をまんぶんなく面積は東京ドーム
平成三十年七月九日
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ラマを連れゆく高原の空気を空気を届けるシェルパの野望
平成三十年七月十一日
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銀色のミニマリストたちが夢に見た廃墟から夢を見ているぼく
平成三十年七月二十三日
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有名な異人の忌日なんか記憶にないよ小学校の図書室
平成三十年七月二十七日
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荒馬が暴れる如くに砂を噛む裸足が笑うプロフェッショナルボクサー
平成三十年七月三十一日
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今日もまた朝が始まる推理小説のダイニングメッセージを解読しつつ
平成三十年八月二日
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丸坊主お洒落ができない思春期の球児に流行る眉毛カット
平成三十年八月八日
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ホームランを見送り敗れし球児は意外と笑顔で砂を持ち帰る
平成三十年八月十日
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