恋葉さん
のうた一覧
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少年の夢に生まれし青蛙母の骸に死に積もりゆく
平成三十年七月二十日
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すみませんすみませんと何度も言っている中年女性のケータイが言ってる
平成三十年七月二十三日
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朝焼けの商店街を闊歩して焼け死んでいる幽霊拾う
平成三十年七月二十四日
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暗記するほど読み返した本の街本棚の中に入口がある
平成三十年七月二十四日
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恋文は夢の言葉でしたためて死んで届ける虚ろの社
平成三十年七月二十五日
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少年がもたれる椰子の木の幹に俺の血管が広がっている
平成三十年七月二十五日
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君を食べ君を孕んで君を生む今度は僕を食べて孕んで
平成三十年七月二十五日
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狭い狭いトイレで男目眩して世界の果てに落下していく
平成三十年七月二十六日
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テレビでは母の顔した人々が私の顔したまんじゅうを食う
平成三十年七月二十七日
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落下する命の速度加速して無間地獄の流れ星かな
平成三十年七月二十七日
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恋人の死骸に湧いた蝿たちが彼の好きだったブルースで鳴く
平成三十年七月二十七日
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寝室に眠りし母の太もものチャックを開けてみる夜明け前
平成三十年七月三十日
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泥に出づる不定形児の産声で古代の神が夢から覚める
平成三十年七月二十八日
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右の小指の赤い糸は左の小指に繋がっている。生まれなかった双子の兄がいる
平成三十年七月三十日
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殺人鬼も人は人よという母の影は本当に人なのだろうか
平成三十年七月三十日
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ちょっとトイレにと言って席を外した先生のミイラが翌日ブラジルで発見された
平成三十年七月三十一日
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リスカするにいちゃん何故か血は出ずに上司が覚えのない怪我をする
平成三十年七月三十一日
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ケラケラと笑っている。私が。鏡像は少しも笑っていないのに
平成三十年七月三十一日
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使い切ったテッシュの箱を軽く振りビー玉くらいの髑髏が落ちた
平成三十年八月一日
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絵の中の少年犯す夢を見て日に日に彼の腹が膨らむ
平成三十年八月三日
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