一藤さん
のうた一覧
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土曜日の朝 儀式のごと 爪を切る 等しく二ミリほど伸びてをりぬ
平成二十七年十月一日
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一日に一ずつ物を捨てゆかん 羊雲の朝 風新しく
平成二十七年九月二十六日
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空き瓶に金木犀の花摘みて詰めてみたしと望む子のあり
平成二十七年九月二十三日
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残暑の夜 驟雨の後の静けさに 秋茄子甘く熟れにけるかも
平成二十七年九月二十一日
4
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言ひかけしその一音に胸の内悟れるほどの愛ぞかなしき
平成二十七年九月十八日
3
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不加算と加算に名詞分くるとき俄に哲学的問ひとなるなり
平成二十七年九月十二日
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秋日傘忘れて木陰の涼しさを選びつつ行くパン屋への道
平成二十七年九月十二日
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偶然か必然なのか日々湿度記録する癖亡き父に似て
平成二十七年九月十一日
8
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秋鮭は皮がいちばん美味なりといふ友のゐて年老ゆるなり
平成二十七年九月八日
8
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皮剥けば毛細血管のやうな筋透き通るマスカットかな
平成二十七年九月六日
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不動通り商店街の果物屋三軒競ふ秋の彩り
平成二十七年九月五日
4
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トイレットペーパーのダブル・シングルの好みまでもは遺伝せざりき
平成二十七年八月三十日
1
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えのころ草 穂はまだ青く秋風の冷たさのみぞ訪れにける
平成二十七年八月二十九日
4
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哀しさにキヌガサタケの網の目をなぞる心は堂々巡り
平成二十七年八月二十七日
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帰宅して言ひ返せざりし悔しさに葱刻む手のふと止まりつる
平成二十七年八月二十五日
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レシピノート最後のページに書き留める「なんにもしないそのままが好き」
平成二十七年八月二十四日
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和梨剥く指先冷えて確かなるサンドペアーの砂の粒々
平成二十七年八月二十三日
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バスを待つ人は哀しき一様にバス来る方を向きて佇む
平成二十七年八月二十二日
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ロットにはあらず シリアル管理なり 機械にさへも個性あるゆゑ
平成二十七年八月二十一日
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真っ黒な不安言葉に吐き出して意外に空腹だったと気付く
平成二十七年八月二十日
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