一藤さん
のうた一覧
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初めての街を歩きて西日差すパン屋に入りぬ秋待つ日なり
平成二十七年八月十八日
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秋日傘忘れて木陰の涼しさを選びつつ行くパン屋への道
平成二十七年九月十二日
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靴擦れの潰さぬやうに洗ひつつ斷捨離の道明日も歩かむ
平成二十七年七月二十二日
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叩くたび二分されゆくビスケット 我が胸ポケットにあるが哀しき
平成二十七年八月二日
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童謡では増えていきますが…
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死に際の母を知らねど 夢に出でし陽性症状の老婆であるめり
平成二十七年八月八日
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理不尽な思いも栓無き疲労感も 鈍き曇天のせいにしており
平成二十七年八月十日
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竹製のつまみか安全カミソリでカボチャの脇芽摘ましむる戦時下
平成二十七年八月十三日
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バスを待つ人は哀しき一様にバス来る方を向きて佇む
平成二十七年八月二十二日
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えのころ草 穂はまだ青く秋風の冷たさのみぞ訪れにける
平成二十七年八月二十九日
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不動通り商店街の果物屋三軒競ふ秋の彩り
平成二十七年九月五日
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残暑の夜 驟雨の後の静けさに 秋茄子甘く熟れにけるかも
平成二十七年九月二十一日
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「ご自宅で豚の角煮は作るの?」と面接試験のやうな女子会
平成二十七年七月二十五日
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金曜の 終りに照らす 夕日は 労を溶かして まろく輝く
平成二十七年七月三十一日
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右よりも 五ミリ大きなる 左足 新しき靴に 傷めつつ生く
平成二十七年八月四日
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死ぬまでに 事の収支は釣り合ひて 出逢いと別れ 数なむ等しき
平成二十七年八月十二日
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赤及び黒の破片は大海に生きし名残といふ竹輪かな
平成二十七年八月十七日
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哀しさにキヌガサタケの網の目をなぞる心は堂々巡り
平成二十七年八月二十七日
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和梨剥く指先冷えて確かなるサンドペアーの砂の粒々
平成二十七年八月二十三日
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レシピノート最後のページに書き留める「なんにもしないそのままが好き」
平成二十七年八月二十四日
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言ひかけしその一音に胸の内悟れるほどの愛ぞかなしき
平成二十七年九月十八日
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