松本直哉さん
のうた一覧
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いつまでも来ぬバスを待つをさなごを背負へば重し睡魔に負けて
令和五年六月四日
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暗闇に慣るるまでの間ながかりき涼をもとめて葦簀の庇
令和五年六月三日
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たのしみは生姜醤油に厚揚げをあてに一献傾くるとき
令和五年六月二日
5
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ここが足ここが頭と助産師の触診の手のあたたかく撫づ
令和五年六月二日
6
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反省の色は何色 全体に霞みがかつた夕空の青
令和五年六月一日
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サンダルを素足に履いて子どもらのシャボン玉吹く夏は来にけり
令和五年五月二十八日
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庭先に干す衣にもジャスミンのにほひうつれば夏の範疇
令和五年五月二十七日
5
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水仙のかをりただよふリビングに離婚届の紙薄かりし
令和五年五月二十六日
7
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伺へど休診の札かかりをり熱のある子の手を引きかへる
令和五年五月二十三日
6
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近寄れば塀の上より飛び降りて悠々として歩み去る猫
令和五年五月二十一日
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聖堂に「憐れみたまへ」の声満てり愚かの神に祈るべけんや
令和五年五月二十一日
3
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軽やかな筏に乗りて漕ぎいでな夏の一大紺円盤へ
令和五年五月二十一日
5
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マルクスのヘーゲル批判読みあきて空見上ぐればひとすぢのくも
令和五年五月十七日
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かきくらし地軸は揺れて幕裂けつなにゆゑわれを見捨てたまひし
令和五年五月十二日
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爽やかな風吹きわたる緑蔭に弔問の列とぎれざりけり
令和五年五月十二日
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なすの紺ししたうの青かぼちやの黄いろとりどりの夏揚げにけり
令和五年五月十二日
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さかさまに吊るして春を惜しみけり花のにほひはうつろひやすく
令和五年五月十二日
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邂逅はいかなる火花散りにけむ老いたるゲーテと若きベトヴェン
令和五年五月十二日
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うしろから目隠しされてふりむけば春の日差しの荻窪駅前
令和五年五月三日
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削除また削除のすゑにあらはるるりんごの芯のごときたましひ
令和五年五月三日
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