美津村さん
のうた一覧
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少しつよくネクタイを締めて雨の降る朝の駅に我は人を待つ
平成二十八年九月十日
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駅の階段に書かれし色つき宣伝文字踏みつけてあまた人の上りゆく
平成二十八年九月九日
6
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岸壁を離れむとする黒き船ながくかかりて向きをかへたり
平成二十八年九月九日
5
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圧搾銃に鋲を打つ音響きゐて干拓地の日暮れ茄子色の靄
平成二十八年九月九日
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何事か変化あるらむ予感して勤めむ今朝も家出でてゆく
平成二十八年九月九日
6
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慣れてしまへば仕事はいづれも単調なるものをかの時思ひつめゐき
平成二十八年八月三十一日
2
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娶りてわづかなる月日にかはりたる我をいろいろに言ふ人の声
平成二十八年八月三十一日
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サングラスかけて帰り来る汝は陽炎の中をゆらめきて来る
平成二十八年八月三十一日
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夜半過ぎの地震に目覚めて起きゆきし妻が厨に水を飲む音
平成二十八年八月三十一日
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髪を洗ひ風に吹かれてゐる汝に右より早き夕月の差す
平成二十八年八月三十一日
7
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巻雲と海の隙間に突き出でしあやまる岬を包む白波
平成二十八年八月三十日
8
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朝霧の流れゆく先に連なるは石積む垣と屋根低き村
平成二十八年八月三十日
7
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ただひとつ階下の和室この部屋は病む日のために叔母はつくりし
平成二十八年八月三十日
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母に似て叔父叔母顔の色黒し髪を染め眼鏡かけ金歯がひかる
平成二十八年八月三十日
5
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通夜の誦経聞きつつ我はどうしてもうとまれてゐる感じが去らず
平成二十八年八月三十日
5
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腕の蚊をひとたたきせむとしたれどもひと息吹きかけ吹き逃がしやる
平成二十八年八月二十九日
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腹を上にし浮きくる金魚に手を添へて護りやりつついち日過ごす
平成二十八年八月二十九日
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自らの名前を嫌ひし一生にて隱れて逃れて心こらへて
平成二十八年八月二十九日
5
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戦中に産まれて勲と名付けられ敗戦の世をとろとろと来し
平成二十八年八月二十九日
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上から見おろす螺旋階段の底の闇地獄にあらむに降りねばならず
平成二十八年八月二十九日
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