美津村さん
のうた一覧
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朝明けて路肩の草の露光る国道一号金谷の峠
平成二十八年十一月十一日
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トラックを停めて寝てゐし一時間に晴れて三日月前窓に見ゆ
平成二十八年十一月十一日
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荷を積みてトラックに走り来し夜の夜明けて富士の見え始めたり
平成二十八年十一月一日
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ラジオの音量あげて窓入る風を受け納品済まししトラック走らす
平成二十八年十一月一日
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クラッチを踏む左側の靴の底右より早くひび割れてくる
平成二十八年十一月一日
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朝日に向ひゆく我が車の前窓のガラスに虹に似たる色むら
平成二十八年十月三十一日
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荷を納め軽くなりたるトラックに帰るは我と受取手形
平成二十八年十月三十一日
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重き物かかへて運ぶわが仕事はきゐる靴底片減りしてゐる
平成二十八年十月二十九日
6
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雨にはかに激しくなりし午前四時倉庫を開けてエンジン始動す
平成二十八年十月二十九日
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シャツの袖まくりトラックに積む煉瓦強く触れあひ火花を発す
平成二十八年十月二十九日
6
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ひび割れてまだらになりゐる安全靴脱ぎし我が足汗にふやけゐる
平成二十八年十月二十九日
6
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電動シャッター上りし倉庫に深ぶかと差し入る朝のやはらかき光
平成二十八年十月二十九日
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裸電球点る倉庫に帰り来て熱もつタイヤに輪止めを噛ます
平成二十八年十月二十八日
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足重く疲れて寒き午後八時トラック仕舞ひし倉庫を戸閉す
平成二十八年十月二十八日
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湯玉浴び焦げ穴あきし作業衣のままに帰りぬ残業をして
平成二十八年十月二十八日
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包装し無人コンベアーに流れくる荷を積む我はひとり倉庫に
平成二十八年十月二十八日
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束ねたる煉瓦を両手にぶら下げて幾千運びし作業の終る
平成二十八年十月二十八日
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人の指図のままに物言ひ荷を運び責任少なき今日の終りぬ
平成二十八年十月二十七日
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屋根打ちて降る雷の粗き雨倉庫に雨の匂ひ満ちたり
平成二十八年十月二十七日
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荷を降し窓を閉めたる倉庫の中トラックのバネの弛みゆく音
平成二十八年十月二十七日
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