美津村さん
のうた一覧
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尾を切りし冷凍鮪の並べられ蒸気あがりをり射しくる朝日に
平成二十七年十二月二十五日
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三隻づつ組みて網曳く沖の船向き変ふる時汽笛を鳴らす
平成二十七年十二月二十五日
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木の札を叩き合せて鯛を競る混るハコフグ蹴飛ばしながら
平成二十七年十二月二十五日
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ボロの蒲団に裸でい寝て育ちしは吾とわが子と二代かはらず
平成二十七年十二月二十五日
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駅のベンチにありし一円貨幣をば払ひ落して人腰掛けぬ
平成二十七年十二月二十五日
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好きともいえず嫌いでもなし美しき歯並びゆえの衝動にして
平成二十七年十二月十三日
4
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差別かも知れず区分けかも知れず差別と区分けの境むつかし
平成二十七年十二月十三日
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爪剥がれし足を庇ひて運転し夕べはいたくその足ふくるる
平成二十七年十二月十日
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自由に意見を言へと促され言ひたりき結局そのあと疎まれきたり
平成二十七年十二月十日
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ひとつ湯舟に浸かるも久しき妻と吾「極楽 極楽」共に老いたり
平成二十七年十二月十日
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この妻と共に過ごす一生かと嘆きたりしは言はず越えきぬ
平成二十七年十二月十日
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僕にはどうでもいい事だよと言ひ捨てて電話切りたし切る勇気なし
平成二十七年十二月十日
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人間の死に絶えて浄きこの星に蝶になりて翅ひろげたし
平成二十七年十二月四日
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稲架に干す稲の連なる輪中堤羽根ひからせて蝗跳び交ふ
平成二十七年十一月二十九日
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パイプオルガンの腹に響く低き音 名曲の中の不興の部分
平成二十七年十一月二十七日
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尻合せにトラックを停めて背取りされその荷は密輸の荷のごと怪し
平成二十七年十一月二十七日
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加工場のトロ箱の中に尾鰭打つ生きゐるハギを忘れかねゐつ
平成二十七年十一月二十四日
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朝光の差し入る浜小屋積まれたる網に三和土に鱗のひかる
平成二十七年十一月二十四日
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出漁船に白米を撒き祈りたる後も佇み見送る媼
平成二十七年十一月二十四日
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荷台よりはみ出す砲身に覆ひして演習帰りのトラック続く
平成二十七年十一月二十四日
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