卯月さん
のうた一覧
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初雪が地面にふれて溶けるまで そんな儚い恋の御話
平成二十二年一月十四日
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ひと月に満たぬ吾が子にままごとのやうな靴下買ひ帰る君
平成二十二年一月二十二日
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声もなく泣く人のごと日溜まりの雪はさらさら涙を流す
平成二十二年二月九日
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なぜ国を背負はすのだらう人はみな自らのため美しくあれ
平成二十二年二月二十六日
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青空に誰かが描いた一筋の飛行機雲が春へと伸びる
平成二十二年二月二十七日
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んンなァと微笑む吾子にんンなァと言葉にならぬ言葉でこたふ
平成二十二年二月二十八日
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ベビーカー押して市議選投票日この子はこの街で生きていく
平成二十二年三月十四日
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今日だけは雨にご遠慮願います紙婚式が濡れないように
平成二十二年三月二十一日
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赦せないことを無理やり赦すのは「諦めた」っていうのよ、きっと
平成二十二年三月二十三日
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嘘ばかり吐いてきたので本当がもうわからない四月一日
平成二十二年四月一日
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満面の笑みを浮かべた水仙と吾子を眺めてシャッターを切る
平成二十二年四月二十三日
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花美し桜前線遡りやまびこ号は東京に着く
平成二十二年五月二日
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長い髪三つ編みにしてダリア咲くあの夏の日の迷宮にいた
平成二十二年六月二日
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きらきらと光る素足で早苗田を又三郎が駆けるさざ波
平成二十二年六月七日
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虚空にてデイジー・ベルを歌う日よ人工知能は何を夢見る
平成二十二年六月二十二日
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結末に気付いていてもわたくしはきっとあなたに出会おうとする
平成二十二年六月三十日
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偶像を愛しているのわたくしを傷つけないし気づきもしない
平成二十二年七月十四日
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手を引いて闇の中から連れ出してわたしの足で歩き出すから
平成二十二年八月二日
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一緒ならきっと幸せ終末に気づかぬ街の夢の中でも
平成二十二年八月八日
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絶対に人を憎むな目に見えぬ犬が目覚めて騒がぬように
平成二十二年八月十三日
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