卯月さん
のうた一覧
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名も知らぬ歌詠む友に支へられ去りゆく年に感謝を込めて
平成二十一年十二月三十一日
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姑が吾子抱く姿眺めつつ母には抱かせたくなき非情
平成二十一年十二月二十九日
4
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実は私の携帯電話はEメール受信するたび猫が鳴きます
平成二十一年十二月二十九日
3
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わたくしがそう呼び夫がそう呼べばこの子はその名の存在になる
平成二十一年十二月二十九日
24
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今宵より母子同室でこれからは私は決してひとりではない
平成二十一年十二月二十八日
7
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なぜ吾れは母を赦せぬのだらうか 眠れぬ夜の夜明けは遠く
平成二十一年十二月二十八日
9
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真夜中の新生児室で泣き出した吾が子の声にひとり聞き入る
平成二十一年十二月二十八日
16
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有難う こんな私が母ですが無事にこの世に生まれてくれて
平成二十一年十二月二十六日
34
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陣痛の波が来る間の戯れに携帯電話で海を漂う
平成二十一年十二月二十六日
6
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空白にリフレインする鈴の音、舞い落ちる雪、過ぎ去りし夢
平成二十一年十二月二十四日
6
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聖誕祭前夜ではなく本日はあくまで兄の誕生日です
平成二十一年十二月二十四日
2
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店先の青い香りに誘われて三日も前に柚子の実を買う
平成二十一年十二月二十二日
6
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さくさくと足跡つけて白銀の絨毯の上歩く愉しさ
平成二十一年十二月二十二日
2
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水墨の世界のやうに降る雪が全てを白く白く塗り籠む
平成二十一年十二月二十一日
2
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平日をひとり自宅で過ぐす日々産前休暇は心許なし
平成二十一年十二月二十一日
2
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名付け本めくりて夫と歓談す今宵が永久に続かましかば
平成二十一年十二月二十一日
2
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臨月の待ち遠しさと吾が母の死を乞ひ願ふ暗き心と
平成二十一年十二月九日
2
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一〇〇万のイルミネーションなんかよりこの星空を君と二人で
平成二十一年十二月一日
2
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朝餉から大量虐殺したやうな気分にもなる蜆汁かな
平成二十一年十一月二十五日
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授乳用クッションを買う傍らで万一のため記す遺言
平成二十一年十一月二十三日
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