備前 大輔さん
のうた一覧
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雪に消えたとりどりの色を数えれば泥む吐息も溶けて重なる
平成二十六年二月十六日
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慄けり三十路の果ての荒涼に汗も涙も流す宛て無し
平成二十六年二月二十二日
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駅を継ぎ書類を供に役所旅一字の影に愛憎が浮く
平成二十六年二月二十二日
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黒土に散る油肥の融けた朝まだらの傍に知らぬ草萌ゆ
平成二十六年三月四日
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寝ては醒め濁る意識で一夜越す終わらぬ夢に朝鳥の声
平成二十六年三月十日
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夕間暮れ日の給金でパン買いぬ膝にすがりし野良猫を追い
平成二十六年三月十三日
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東海歌壇投稿歌
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餌を乞う野良猫の眼のその奥にへつらいの眼の男ありし夜
平成二十六年三月十三日
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水を欲る当て馬のごと嘶きて暗き口端を舌で濡らしぬ
平成二十六年三月二十五日
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改訂
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低雲の上を飛べんか雨燕賢しらな背を置き捨ててゆけ
平成二十六年三月二十一日
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雨の日に低く飛ぶ燕を見て、鬱屈し...
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空覆う飛蝗のごとき細雪地を這う子等を白く染めたり
平成二十六年三月二十一日
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訪ね往きし舎の白壁に黒々と浮かぶ上司の面を蹴りたり
平成二十六年三月二十一日
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革靴で十六文キックは良くない。
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爪皮と共に歪んだ古き靴皺と傷もて「所有」を刻めり
平成二十六年三月二十二日
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母が背の髪越しに見し赤電車蝋燃ゆるごと役を終わりぬ
平成二十六年三月二十六日
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雲間射す薄ら陽に照る蜘蛛の糸昨日には無き一文字の道
平成二十六年五月二十四日
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強き陽と虫の息吹が立ち昇る五月となりぬ老いも若きも
平成二十六年五月二十四日
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病熱の呼気に灼け付く咽より睡魔来たりて頬を寄せたり
平成二十六年五月二十四日
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母が手の襤褸切れに似し土曜朝残る白地を探し寝にけり
平成二十六年五月二十四日
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我が家族血筋たらしむ系譜あり羽蟻のごとく男子が蝕む
平成二十六年七月三日
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蛾と違え我が殺めし蝶の子は空に餓えて手を伸ばしけり
平成二十六年七月十九日
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我が生を評す者あり戯れに蟻踏むがごと犬追うがごと
平成二十六年七月十九日
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