千葉 甫さん
のうた一覧
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野を駆ける五月の風と指先に草の匂いを秘めたる少女
平成二十五年六月七日
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去り行くを見送りながらぽつねんと夜のホームに立ち尽くす影
平成二十五年五月三十一日
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青い眼のような雲間の空の視線徐々に私へ近づいて来る
平成二十五年五月十九日
2
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あてもなく橋行く私とあてのある足どりで来る犬すれ違う
平成二十五年五月十二日
5
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子どもらのわざわざ指を触れて行くペンキ塗り立てと書いてあるので
平成二十五年五月五日
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遠ざかる後姿が夜の道に点滅点滅信号の灯に
平成二十五年四月二十八日
3
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紋白蝶翻っていた空間に漂って来た桜一片
平成二十五年四月五日
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花曇り降り出したのか戸口から空へてのひら向けている人
平成二十五年三月二十五日
3
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聞くたびにわが住む町へじりじりと近づいているセアカゴケグモ
平成二十五年二月十七日
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このLPしょっちゅう聴いていた頃の私の髪は肩まであった
平成二十五年二月十日
3
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濡れている舗道に映る街灯と私の間に突っ立った影
平成二十五年一月二十二日
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音立てて夜の通りを空缶が転がって行く風に蹴られて
平成二十五年一月十七日
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雲間からあった陽ざしの退いて再び私は鉛の男
平成二十五年一月十五日
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わが窓に向かい合いいる窓に灯を今宵も点す顔の無い人
平成二十五年一月十三日
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音も無くあとからあとから花弁雪私は重力失ってゆく
平成二十五年一月十一日
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あまりにも空は青くてはぐれ雲漂いきれずに吸われてしまう
平成二十五年一月九日
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今は亡き人のメロデイ今は亡きピアニストで今流れ始める
平成二十五年一月七日
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