千葉 甫さん
のうた一覧
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カーテンの揺れたるときに床に差す月の光をよぎりたる蜘蛛
平成二十五年九月十二日
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一枚の木の葉羽織った蓑虫の風に揺れたり回転したり
平成二十五年九月九日
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十七日ぶりに猛暑日途切れたと聞いていささか寂しさのある
平成二十五年九月二日
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犬の吐く息荒々しくわが窓の下をよぎりて行く熱帯夜
平成二十五年八月二十八日
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跳ね返る陽射し叩けばかんかんと音のしそうな猛暑日の昼
平成二十五年八月二十三日
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この夏の大濠花火大会の音の虚ろに響く喪の家
平成二十五年八月十四日
1
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葉洩陽のさみどり色に白い蝶触れては光る触れては光る
平成二十五年八月一日
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昨夜は灯に煌めいていた銀色の蛾の屍ある朝の床に
平成二十五年七月二十五日
4
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不眠症の主人と暮らして夜吠える隣の犬の昼間は眠る
平成二十五年七月二十一日
2
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この朝蝶に生まれた黒揚羽飛び立つ前の翅瑞々し
平成二十五年七月十八日
1
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新しく立ち上がってきたマンションも帰る鴉ら立ち寄る所
平成二十五年七月十四日
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床に差す月の光に落ちている風鈴の影折々そよぐ
平成二十五年七月十一日
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逝く前に購って形見の置時計動き続けて一周忌来る
平成二十五年七月七日
3
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闇を来るヘッドライトに曝されて立つ灯らないままの街灯
平成二十五年七月四日
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ベビーカーから乗り出して幼子は大人に見えないものを見つめる
平成二十五年六月三十日
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白百合の花の帯びたる朝露の光って見せている虹の色
平成二十五年六月二十七日
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夢で会うたびに亡き父亡き母の歳は私へ近づいている
平成二十五年六月二十三日
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風船のような朱色を帯びた月軽々上ってくる大樹から
平成二十五年六月十九日
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路傍から起き上がってきた新聞紙避けた私へ纏わってくる
平成二十五年六月十六日
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縺れ合い上る二匹の白い蝶浮かんだ雲の色に紛れる
平成二十五年六月十二日
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