千葉 甫さん
のうた一覧
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行く雲を見ていて過ぎたひとときの記憶を辿る眠り待ちつつ
令和五年五月十五日
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背後から来た紋白蝶右折して入った道から揚羽出て来る
令和五年五月十三日
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投げられた礫のように通過した一羽の雀に続いて一羽
令和五年五月十一日
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上がるかと見えていたのにまた音を立て出してきた二日目の雨
令和五年五月九日
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ひそやかに降る雨見せて一台のヘッドライトの過ぎる真夜中
令和五年五月七日
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思い出すまま吹いているハーモニカに少年の日の歌が出てくる
令和五年五月五日
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窓の外よぎった傘を差す人に目には見えずに降る雨を知る
令和五年五月三日
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雨はまだ降っているのか窓外へ眼を凝らす耳も澄まして
令和五年五月一日
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街路樹の根方に生えている草の緑優しい四月の陽ざし
令和五年四月二十九日
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側溝の隙から生えている草に鮮やかな黄の花を見る今朝は
令和五年四月二十七日
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雲一つ無く広がっている空は霞か黄砂か曖昧な青
令和五年四月二十五日
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気がかりな一つがあって折々に水泡のように意識に浮かぶ
令和五年四月二十三日
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窓開けて朝の風に目を閉じて暫し味わう春の感触
令和五年四月二十一日
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キッチンは誰も居なくて蛇口から水が下っている音もなく
令和五年四月十九日
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フリーズをしては動くを繰り返すコンピューターに従わされる
令和五年四月十七日
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過ぎて行く時間静かな昼下がり鏡を覗いている猫の居て
令和五年四月十四日
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ここからは見えぬ夜空でホバリングの音の続いているヘリコプター
令和五年四月十二日
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カーテンが風にまくられ暮れ際の陽ざしの伸びる部屋の端まで
令和五年四月十日
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真夜中の階段上るワンテンポ遅れて背後に軋む音する
令和五年四月八日
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意識するたびに雨音ひそやかにあるを聞きつつ花冷えの今日
令和五年四月六日
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