千葉 甫さん
のうた一覧
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朝刊を入れて静かに去るバイク暁前のまだ闇の刻
平成二十九年四月二十六日
9
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春風を行く自転車に茹卵のように光っている膝頭
平成二十九年四月二十五日
7
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覗きこむ部屋には誰の姿もなくテレビの声のあるいたずらに
平成二十九年四月二十四日
4
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自らの影を踏みつつ下りて行く真夜中過ぎの階段軋む
平成二十九年四月二十一日
8
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春風がふわりとめくるカーテンの外を光って行く白い蝶
平成二十九年四月二十日
10
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悲しみは寂しい思いに和らいでゆきつつ胸の奥に棲みつく
平成二十九年四月十九日
10
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段ボール箱で送られてきたものの半分近くは詰物の紙
平成二十九年四月十八日
7
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こちらから歩み寄らずにあちらから歩み寄らずに交わり絶える
平成二十九年四月十七日
8
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解体の家の跡地に蹲るブルドーザーに夜の雨降る
平成二十九年四月十四日
7
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張られたるシートの内で半世紀見慣れた家の解体の音
平成二十九年四月十三日
10
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木の下を過ぎる少女のてのひらに下りる桜の花びらひとつ
平成二十九年四月十二日
6
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乱舞する鴉の群れの空の下灯点る窓の二つか三つ
平成二十九年四月十一日
7
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疲れたる眼の焦点の合うまでを見つめる窓の向うの桜
平成二十九年四月十日
8
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バックしては左へ曲がると言う声の聞こえ続けている夕間暮
平成二十九年四月七日
6
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降っているときと上がっているときの曖昧模糊の春の日暮れる
平成二十九年四月六日
6
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ふと音を立てた障子に眼をやってひとり居る夜の静かさの増す
平成二十九年四月五日
12
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番傘で春雨の中歩く人ギターケースを肩から吊って
平成二十九年四月三日
5
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夕映えて空高々と行く一機下行く一機はすでに陰って
平成二十九年三月三十一日
5
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変りばえしないで過ぎる一日の終り近くに届いた訃報
平成二十九年三月二十九日
7
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昨日から同じ時間を指している壁の時計にまたも目の行く
平成二十九年三月二十七日
5
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