木綿さん
のうた一覧
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行く先も知れず押されて倒れても楽しげに見ゆ沖の白波
平成二十四年一月十九日
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いつもより少し長めに手を伸ばす「行ってらっしゃい」毎度さみしい
平成二十四年一月二十八日
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贅沢の仕方わからずいつもより高いのを買う生理用品
平成二十四年一月二十七日
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旅をして気づいちゃったの本当の自分はどこにもないってことに
平成二十四年一月二十五日
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寢息聞き合わせて呼吸してみるも次第にずれゆくことのせつなし
平成二十四年一月二十六日
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異国にてバスに揺られる三十分遠いあの日の迷子に戻る
平成二十四年二月三日
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「穏やか」と「冷ややか」の意味を考える建前だけをテーブルにのせ
平成二十四年一月三十一日
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血を流しながら仕事し食べ笑う男たちにはできぬ芸当
平成二十四年一月三十一日
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泡の中消えゆく命を眺めてる浴室の隅の無差別殺虫
平成二十四年二月一日
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朝の陽を受けて後ろを振り向けば足の下にはべったりと影
平成二十四年二月七日
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ドライブは楽しあなたと向き合わず同じ景色を見続けられる
平成二十四年二月七日
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他人なら伝わらぬのが当然と言いのける君 頷けぬ我
平成二十四年二月八日
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赤い眼のような警告灯は消え わたしも朝のかあさんになる
平成二十四年二月八日
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どんよりと暗い木陰に留まりて 昨日の夜の残骸探す
平成二十四年二月九日
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遠距離と思っていたけど今ならば時差がないなら近いと思う
平成二十四年二月十二日
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延々と伝えられてるきみの予定 メモするふりして落書きをする
平成二十四年二月十七日
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予約してくれた事実が嬉しくてメニューの文字が躍って見える
平成二十四年二月十四日
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きっかけも時間もなくて洋菓子を指すふりをして言えた「好きです」
平成二十四年二月二十日
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水中に潜ればほんの一時の魚になって敵から逃げる
平成二十四年二月二十一日
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雨の夜の花火は終わりあたふたと帰る人らの足音を聞く
平成二十四年三月五日
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