環さん
のうた一覧
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しじみ蝶のからまりあつて昇りゆく 太陽にかさなつてみえない
平成二十五年二月十九日
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木の椅子は秋のひかりに温かく降りやまぬ葉の重さをおもふ
平成二十五年二月十九日
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冬薔薇の棘の硬さに食ひ込んだ人差し指に血は出て来ない
平成二十五年二月十九日
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赤さびた柱に組まれし廃屋に 吹きぬくる風 生えのぶる蔦
平成二十五年二月十九日
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ポケツトから柿の実ひとつ取りだして一寸なげてみる軌道のやうな
平成二十五年二月十八日
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すこしだけさみしくなつた銀杏の葉の空白にまた冬が来りぬ
平成二十五年二月十八日
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くすりゆびで引つ掻いたやうなきづあとを(そこにはゐない)雲がのこした
平成二十五年二月十八日
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百合の木の量感あはく色づいた茶色い葉から順に落ちてゆく
平成二十五年二月十八日
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夏には花でうめつくされたこの場所にいまふたひらひらく秋の薔薇みゆ
平成二十五年二月十八日
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とびとびにとぶ雲を見るあきかぜのはてにはなにもない空もあり
平成二十五年二月十三日
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焦げ茶色の陸橋に汽車はあらはれずあとすこしだけ此処にゐる 時間
平成二十五年二月十三日
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人びとのあゆむ速さに滲みゆく銀杏並木のあをいろきいろ
平成二十五年二月十三日
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透明な秋のひかりにくれなゐのほほづきひとつふたつみつよつ
平成二十五年二月十三日
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収穫を終へし田の面に組まれゐる 藁の構成 我の構成
平成二十五年二月十三日
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銀杏をふまないやうにかはしゆく花柄のシャツの背中が遠い
平成二十四年十月九日
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青条揚羽のからまりほどけゆく夏の終りの一呼吸 空の味
平成二十四年十月九日
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ずいぶんと世界が薄いみづいろの空 地平線 をりかへす波
平成二十四年十月八日
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瓦から生えたつる草もみぢする 園城寺 秋のはじまりのこゑ
平成二十四年十月八日
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淡海のとうめいなみづ冷たくて終らない夏の終りを思ふ
平成二十四年十月八日
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海のやうな湖がある場所にきて釣竿なげる父子をみてゐる
平成二十四年十月八日
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