京さん
のうた一覧
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まるで歌うみたいに左側のドアが開き続ける朝のビニール傘
平成二十三年九月二十一日
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煙突のけむりと雲の区別がつくようになってしまって泣いた
平成二十三年九月二十四日
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日本橋(おおさか)に降り立つ足はどこへでも帰りたがる
平成二十三年九月二十七日
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このなかに行き過ぎて戻った人はどれくらい 薬みたいな夜
平成二十三年十月二十日
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すこしだけ後悔するために買うものはあたたかい甘いコーヒー
平成二十三年十月二十七日
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柿を頬張りながら柿の皮をむく速さを競うつもりはなくて
平成二十三年十一月一日
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130円きっぷで東京駅へゆくこれ以上遠い場所は知らない
平成二十三年十一月二十三日
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何をしても透けてみえてしまうものだけになる冬服のつめたさ
平成二十三年十二月二日
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飛行機の匂いをさせて一年中旅人でいる恋人たちに
平成二十三年十二月二日
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誰にも何も知らせずに乗る鉄道ですこし遠い春の話をする
平成二十三年十二月三十一日
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羽田スプリング製作所の看板を眺めて春のまちどおしさよ
平成二十四年二月十六日
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飛行機をながめて本州の端っこにいるひとと話す雪の前夜に
平成二十四年三月三日
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オオカミのシールを必殺技のように貼る右手は話したりない
平成二十四年六月二十七日
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信号を渡ろうとして危ないと止めるあなたは機械のようだ
平成二十三年一月九日
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平熱はとっくに通り越していた痛みだけ消すことはできるの
平成二十三年一月十三日
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寒い日は手が触れぬようポケットの厚いビデオテープを返しに
平成二十三年一月十五日
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貧血にラムネ味の飴が効くとあなたは知らなくてもいいけれど
平成二十三年三月十八日
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コンタクトレンズがオムレツのように貼り付いている昼を呑み込む
平成二十三年四月二十三日
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駅のホームで飛行機の出発音をきくあなたに知らせなくては
平成二十三年四月二十五日
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真夜中のような午後七時の街灯早くおばあさんになりたい
平成二十三年五月二日
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とにかく人のいない街に住んでいま...
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